高嶺の花子と大怪盗２【黒羽快斗】 (ページ7)

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57, 犯罪者ですから②-1 ページ7

快斗side

『生ぎでて、生ぎでて良がっだぁぁぁぁあ』

キッド用の秘密の倉庫でAが跪いて言った。

『ぐすっ…………』

下から鼻をすする音が聞こえる。

え、まさか泣いてんのか？

目の前にはスズキのHayabusa 25周年特別仕様車。

本当にバイク大好きなんだな。

クスッと笑い、視線をAからバイクに移す。

まぁ確かにかっこいいけどな。

まず存在感から他とは違う。

どっしりと構えたボディ、そしてこの威圧感。だがどこか美しく目が離せない。

デザインコンセプトは“The Refined Beast (凶暴さを制す知性)”らしい。

うーん､なるほど。分からん。

まぁ、とりあえずかっこいいのは確かだ。

色はグラスブレイズオレンジ。分かりやすく言うならば赤オレンジだ。

「乗ってみれば？」

Aにそう聞くと、

『どうしよう、恐れ多い』

と真剣な眼差しで言われる。

「バイクにも相性があるんじゃねぇの？乗ってみるしかねぇだろ」

跪いたままのAを立ち上がらせ、ほれほれとバイクに近づける。

恐る恐るAがバイクに跨る。

『はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ』

跨った瞬間Aが、体の力が抜けたのかのようにヘニョヘニョと溶ける。

『今死にたい』

「死ぬな」

Aがキーを回し、エンジンをかける。

ブロロロロとバイクが唸る。

嬉しくてしょうがないという顔だ。

その顔に、つい笑みが漏れる。

そこで改めて思う。

バイクにセーラー服と上履きって、なんかやばい組み合わせだな。

『ちょっと走ってきていい？』

ウキウキで聞かれる。

台の上にあるヘルメットをぽんっと投げる。

そこでふと大事なことに気づく。

「あ、ちょっと待て。後ろのプレートいじってたの忘れてたわ、あっっぶね」

『え、何それ』

Aが一旦バイクから降りて、後ろに回る。

そして、

怪盗 14-12

というナンバープレートを見て固まる。

もちろん〝怪盗〟という名の地域は存在しないし、分類番号も、ひらがな1文字もついてないこのナンバープレートは偽物だ。

『ガッツリ違法やん……』

Aが言う。

「知ってたか？キッドって犯罪者なんだぜ？」

『キッドは、かっこいいから許されるんだよ』

キッドは俺だよ！！！という言葉を飲み込んで、ナンバープレートを付け替える。これも偽造したものなのだが。