高嶺の花子と大怪盗２【黒羽快斗】 (ページ6)

今日:112 hit、昨日:207 hit、合計:31,905 hit

56, 犯罪者ですから①-2 ページ6

「よし！いいぞ！」

快斗の声に、わーーーー！っとバイクに跨り、慣れた手つきで操作する。

エンジンがかかり、私の心も高ぶる。

そして、行ってくる！と歯を見せて快斗に笑って見せる。まぁフルフェイスのヘルメットだから、見えていないと思うが。

快斗はいってら〜、とはしゃぐ孫を見守るような顔で手を振った。

バイクが低く唸り声を上げ、それと共に倉庫から飛び出す。

もう夕暮れ時だ。

フルフェイスメットに制服という明らかに不審者な格好で大通りを走る勇気はなく、あまり人のいない小さな通りを爆走する。

風を切って走るとは、よく言ったものだ。

生身で感じる風が心地よい。

自転車でも自動車でも、きっとこの感覚は体験できない。

控えめに言って最高。

あまり遅くなるのもな、と交差点を曲がり快斗のいる倉庫を目指す。

が、

あともう一周いいよね………

神様、仏様、快斗様、懺悔します。私は自分に甘いです。

7週目で、流石にやばいと倉庫に戻る。

噂とかたってたらどうしよう。妖怪制服バイクとか。やだなー。絶対快斗に爆笑されるじゃん。

倉庫に着いた頃には、もう日が落ちて暗くなっていた。

快斗が振り向く。台の上には分解されたトランプ銃と、その手にはドライバーなどの工具道具。

そういえばトランプ銃の調子が悪いって言ってたな。

いや自分で直すんかい。すごいな。

ヘルメットをよいしょと外すと、バサッと髪が落ちる。

私の満面の笑顔に、良かったな、と快斗が優しく笑った。

(本当はAちゃん17歳なので、大型二輪の免許がいる隼には乗れないんですけど、そこはご愛嬌ってことで…)