高嶺の花子と大怪盗２【黒羽快斗】 (ページ48)

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そこには快斗のライダースーツを着た私の姿はなく、ジーパンにバイク用のジャンパーを着た私が立っていた。

『自分以外にも早着替え出来るんだね』

器用だなーと感心していると、

「水色……」

と、キッドがボソッと呟く。

『……………………水色』

それを復唱し、ふとある事に気が付く。

今日の、私の、下着、水色。

え？っとキッドを見ると、

「きゃっ！不可抗力♡」

と、何故か胸を隠すポーズで照れられる。

『…………………………………』

死んだ目をする私に、

「正確にはフロスティブルーだな。いやぁ、清潔でいいと思うぜ」

と、清々しい笑顔で笑うキッド。

パァン！と、今度は本気で彼のお尻を蹴りあげる。

うっ……と、キッドがお尻を押えて膝まづく。

呻き声をあげるキッドに背を向けて、バイクの後ろに回り、テキパキとナンバープレートを付け替える。

何がフロスティブルーだ。正確に言わなくていいんだよ。

何が怪盗紳士だ。ただのスケベな高校生だよ。

下着を見られたことも、彼が全然平気そうなことも癪だ。

仮にも私はあなたのことが好きなわけで。

ナンバープレートを付け替え終わり振り返ると、キッドの姿はどこにもなく、ジーパンにバイク用のジャンパーという、私とお揃いの格好をした快斗が立っている。

ジッと見つめると、

「どうした？」

と、首を傾げる快斗。

下着の件を根に持っている今、お揃いが嬉しいとか思いたくない。

嬉しいけどさ！！！

『なんでもない。』

と、言いながら彼のお尻をもう一蹴り。

いっ！と彼が痛がるのを横目に、私はバイクに跨る。

ヘルメットを被り、真顔で痛がる快斗を眺めていると、

「お前手加減しろよな」

と、快斗もバイクに乗り込んでくる。

『振り落とすぞ』

と、言えば、

「怖ぇ」

と笑う快斗。

路地裏から出て、先程の大通りに戻る。

途中Uターンしてきた中森警部達とすれ違うが、何食わぬ顔で通り過ぎる。

警部がキッドを諦めて、家に帰るのは何時になるのだろうと苦笑いをこぼれる。

健気に父親の帰りを待つ青子が容易く想像出来る。抱きしめに行きたい。

そして私は快斗を家に送るべく、法定速度をしっかりと(・・・・・)守り、江古田の快斗の家へとバイクを走らせた。