高嶺の花子と大怪盗２【黒羽快斗】 (ページ45)

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95, 怪盗キッドの協力者②-4 ページ45

群衆は完全にパックリと二つに分かれ、そこに1本の道ができ、真っ赤なバイクが駆け抜けて行く。

Aは、階段上のエントランスから見下ろす俺を見る。

そしてその横に立つ、お嬢様をお姫様抱っこした蘭ネェチャンを見る。

お、二度見した。素が出てんぞ。

Aが階段前で、ややドリフト気味に無理やりバイクを停車させる。

「な、何？？？！！！！」

と、Aの登場に、警部があんぐりと口を開けたまま固まっている。

急に現れたバイクマンに、群衆を含めた会場全体が、戸惑いと興味の混じった目でAを見つめる。

「カボチャの馬車が迎えに来たようなので、シンデレラは退散しなければなりませんね。」

階段をコツコツと下りながら言う。

うーん、我ながらほんとキザ。

固まったままの中森警部達。

「ガラスの靴の代わりに。とは言いませんが、警部には新しい予告でもプレゼントしましょう」

『え』

無意識に出た言葉に、Aが慌てて口を塞ぐ。

それに吹き出すのを我慢して、シュッと1枚のカードを警部に向かって投げた。

相変わらず動かない警部を横目に見ながら、トンっと軽快にバイクに乗り込む。

「そんじゃまた♡中森けーぶ♡」

ヒラヒラと警部に手を振ると同時に、Aがコツコツとつま先で地面を叩き、そのままバイクを急発進。

この発進前につま先を叩く動作は、Aの癖だ。拓真さんの癖が移ってしまったらしい。

なんて尊い親子っ…と、頷いていると、急発進したせいでガクンと体が大きく後ろに引っ張られる。

「おっと」

と、右手で帽子を抑え、左手でAの腰をギュッと握る。

現場に来ていたテレビに、ばーあい♡と手を振れば、若い女性スタッフが、うっ！と、胸を押える。

また先程と同じように、ブゥンブゥンとマフラーが唸れば、群衆がサッと道を開ける。

黄色い歓声の中を、1台のバイクが駆け抜けて行く。

そしてそれに少し遅れて、サイレンを鳴らしたパトカーやら白バイやらが追いかけて来る。

もちろん頭上では15台ものヘリが、俺達を照らしながらついてくる。

さぁてここからは、Aのお手並み拝見。

Aのバイクにしてやられる警部を想像し、つい笑みがこぼれた。