高嶺の花子と大怪盗２【黒羽快斗】 (ページ44)

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94, 怪盗キッドの協力者②-3 ページ44

｢見て！キッド様よ！！！！｣

という女性の、というかお嬢様の声で、外にいた群衆が騒ぎ出す。

バルコニーから、はーあい♡と、手を振ってみせれば、すごい雄叫びが上がる。

引き気味に苦笑い。

耳につけた無線のボタンを押し、

「行けるか？」

と、無線の向こう側に呼びかけると、

〝『もちろん』〟

と、Aの声が聞こえる。

頼もしい〜。

15台ものヘリが頭上に移動してきて、俺のいるバルコニーを照らし出す。

眩しいしうるさい。

｢キッドぉぉぉ！戻ってこぉぉぉーい！！！｣

見上げると、３階の窓から中森警部が身を乗り出して叫んでいる。

しかも落ちる落ちる危ない危ないと、警官達に押さえられている。

そしてパチッと名探偵と目が合う。

フッと笑ってみせると、相変わらず睨まれる。

何あの小学生。もう怖い！！！

Aが来る前に、盗んだ宝石でも返しておこうと、またバルコニーから飛び下りてエントランスに着地。

今日は飛び下りてばかりだな。

｢キ、キッド様が近い～！！！」

声のした方を見ると、胸の前に手を組んだお嬢様と、上から降ってきた俺に驚いた蘭ネェチャン。

｢こんばんは、お嬢様。この宝石は私が探しているものではなかったようです。｣

片膝をついてお嬢様の手を取り、その手に宝石を握らせる。

｢A……なんでいないのよ…………｣

目がハートのお嬢様が、そう言ってフラフラと蘭ネェチャンに倒れ込む。

蘭ネェチャンは、そのままお嬢様をお姫様抱っこ。

すると後ろから、バタバタと足音がする。

振り返ると、名探偵含める警部達が、３階から駆け下りて来ていた。

めちゃくちゃ息が切れている警部達に対し、全然余裕そうな名探偵。

いや、なんでだよ。怖ぇよ。

｢キッド！！！今日は空から逃げることは出来んぞ？まぁこの人数から走って逃げるなら話は別だがなぁ｣

勝ち誇ったように笑う中森警部。

｢それではお望み通り、地上から逃げてみせましょう？｣

ブゥーンというバイクの唸る音が聞こえ、ヘリ以外のライトがこちらを照らす。

｢ナイスタイミング♡｣

つい頬が緩んでしまう。

そしてブゥンブゥンとマフラーを鳴らし、美術館一直線にこちらに突っ込んで来るバイク。

群衆は、やばいやばいと横に捌けていく。

その群衆に押されて、美術館の門も開く。

門を開けるために、予備のトランプ銃を貸しておいたが、その必要は無かったようだ。