高嶺の花子と大怪盗２【黒羽快斗】 (ページ43)

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93, 怪盗キッドの協力者②-2 ページ43

暗視ゴーグルは持ってきてはいるが、使わずにこのレーザーの中を進んで見せよう。

トントンと、軽快なリズムで目に見えないレーザーを避ける。

実を言うと天井裏で待機する30分、暇だったのだ。

何もすることねぇーなーと、持ってきた暗視ゴーグルでレーザーを眺めているうちに、その位置を完璧に覚えてしまった。

廊下の方では、やっと騒ぎを聞きつけた警官達が、警部達のワイヤーを解いていく。

げっ、名探偵も来てる。

どんどん宝石へと近づいていく俺に、警部達が焦る。

｢なぜ彼奴は見えないレーザーを避けれるのじゃ！｣

相談役の言葉に、

｢もしかしたら避けるフリかも……｣

と、警官の1人が答える。

すると警部が、廊下に飾ってあった花を花瓶から抜き取り、ブンっ！と展示室に投げ入れた。

花はジュッと、音を立て小さく切り刻まれる。

｢早く！！早く警備室にレーザーを切るように言って！！僕達まで入れない！！！｣

｢あ、ああ！！｣

名探偵が、警部に指示を出す。

小学生に指示される警視庁刑事部捜査二課知能犯捜査係。

うわぁ、すんごい絵面。

急いで無線を取り出す警部。

慌てる警部とは対照的に、俺はニヒッと歯を見せて笑う。もちろん先手は打ってある。

｢おい！！今すぐ展示室のレーザーを切れ！！おい！！聞こえるか？！応答しろ！｣

｢無駄ですよ？警部。今頃彼らなら、幸せな夢の中でしょうから。｣

愉快そうに言うと、クソっ！と警部が無線を床に投げる。

宝石の前まで辿り着いたので、トランプ銃からガラスカッターを出す。

｢今すぐ警備室に向かえ！！｣

｢はいっ！！｣

警部が部下に指示を出している間にも、宝石を囲む強化ガラスを綺麗に切りとっていく。

キッド用の仕掛けのせいで、自分達も中に入れない警部。ただ指をくわえて見ることしか出来ない。

チラッと名探偵に目をやれば、こちらをこれでもかと言うほど睨んでいる。

宝石を手に取り月にかざす。

中にもうひとつの宝石はないようだ。これはパンドラじゃない。

｢警部！！レーザー解除しました！！｣

無線から警官の声がする。

｢突撃ぃぃぃぃーーーーーー！！！！｣

言葉の通りに、展示室に突撃してくる警官達。

｢やべっ♡｣

と、3回の窓から、2回のバルコニーに飛び降りる。