高嶺の花子と大怪盗２【黒羽快斗】 (ページ42)

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92, 怪盗キッドの協力者②-1 ページ42

快斗side

3、2、1

「ゼロ♡」

０時丁度だ。

天井裏は自由に動き回れるようになっており、今俺がいるのは展示室のちょうど真上。

展示室前の廊下には、たくさんの警官と中森警部と鈴木相談役。

展示室内にいないのは、展示室にはたくさんのレーザーが張り巡らされているかららしく、知らずに1歩踏み込んだものなら、たちまち己の肉が焼き切れてしまう、ということらしい。

いやー怖い怖いと苦笑い。

急な予告だったもんで、こんな装置しか用意出来なかったわい、と笑う相談役はもっと怖い。

盗聴されているとも知らないで、毎度ペラペラと話してくれるのは、敵ながら少し心配になるが。

お嬢様と蘭ネェチャン、そして眠りの小五郎はいなかった。ついでに名探偵もいない。

え、どこ行った。

名探偵の位置はしっかり把握しておきたかったが、予告時間になってしまったのでしょうがない。

天井裏から、鈴木相談役に向かってただの煙玉をぽんっと投げる。

すると、

「キ、キッドだぁぁあ！捕らえろぉぉ！！！」

と、中森警部を始めとする警官が、鈴木相談役に向かって、わぁーっと突進して行く。

「ま、待たんか！ただの煙じゃ！」

という相談役の慌てた声が聞こえる。

そこで天井裏から、展示室前の廊下にスタッと着地し、警部と相談役、そして警官達をワイヤー銃で一縛り。

「キッド貴様ぁぁぁーーーーー！！！」

と叫ぶ中森警部。そしてほどけー！とジタバタジタバタ。

毎度このような手口に引っかかってくれるのは非常にありがたい。

怪盗キッドに関わると、日本警察はかなりIQが下がるらしい。

「こんばんは、警部。今夜は月が綺麗ですね。」

未だにジタバタしている警部に向かって、恭しくお辞儀をして見せれば、

「ふざけるなキッドぉぉ！！！星も綺麗だなぁぁぁ！！！」

と、返ってきた。

告白成功しちゃったよ………嬉しくないけど。ノリいいな警部。

｢それでは失礼して｣

展示室の扉を開ける。

｢フンッ、どうせ盗れるまい。鈴木財閥が誇る最新のレーザーじゃ。触れるだけで肉が焦げるわい｣

相談役が、盗れるもんなら盗ってみろ、と鼻を鳴らす。

なんで強気なんだよ。今縛られてるよね？

うーんと一瞬考える。少しカッコつけてみようか。

まぁAがいなければ、カッコつける意味は無いのだが。