高嶺の花子と大怪盗２【黒羽快斗】 (ページ5)

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55, 犯罪者ですから①-1 ページ5

A side

『生ぎでて、生ぎでて良がっだぁぁぁぁあ』

キッド用の秘密の倉庫で私は跪いて言った。

『ぐすっ…………』

あ、やべ。涙出てきた。

快斗のまじかよ泣いてんのか…という目線が刺さる。

しょうがないじゃん！だって目の前にはスズキのHayabusa 25周年特別仕様車。

私バイク大好きなんだから！！！

かっこ良すぎるよ。訳分からんぐらいかっこいいっていう事実が、もうホントに訳分かんないよ。

まず存在感から他のバイクとは違う。

どっしりと構えたボディ、そしてこの威圧感。でも、どこか美しくて目が離せない。

デザインコンセプトは“The Refined Beast (凶暴さを制す知性)”らしい。

うーん､なるほど。分からん。

分かるようで分からん。

バイク好きとしては分かりたいのに、いまいちピンと来ない。

まぁ、とりあえずかっこいいのは確かだ。

色はグラスブレイズオレンジ。分かりやすく言うならば赤オレンジ。

「乗ってみれば？」

快斗にそう聞かれる。

『どうしよう、恐れ多い』

私なんかが乗ってもいいのだろうか。乗った瞬間、お前ごときが隼に乗るな！って逮捕されてもおかしくないぞ。

「バイクにも相性があるんじゃねぇの？乗ってみるしかねぇだろ」

快斗が跪いたままの私を立ち上がらせ、ほれほれとバイクに近づける。

恐る恐るバイクに跨る。

『はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ』

跨った瞬間力が抜け、ヘニョヘニョと溶ける。

『今死にたい』

「死ぬな」

キーを回し、エンジンをかける。

ブロロロロとバイクが唸る。

どうしよう。嬉しくてしょうがない。

1人はしゃぐ私を見て快斗が笑う。

『ちょっと走ってきていい？』

ウキウキで聞くと、台の上にあるヘルメットを快斗がぽんっと投げる。

「あ、ちょっと待て。後ろのプレートいじってたの忘れてたわ。あっっぶね」

『え、何それ』

一旦バイクから降りて、後ろに回る。

そして、

怪盗 14-12

というナンバープレートを見て固まる。

おい待て何だコレ。

〝怪盗〟っていう地域存在しないよね？しかも分類番号も、ひらがな1文字もついてない。

『ガッツリ違法やん……』

私が言う。

「知ってたか？キッドって犯罪者なんだぜ？」

『キッドは、かっこいいから許されるんだよ』

開き直って言いながら、快斗がナンバープレートを付け替える。