高嶺の花子と大怪盗２【黒羽快斗】 (ページ38)

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88, 予告直前です②-4 ページ38

さすがに〝Aの運転するバイク〟を〝カボチャの馬車〟と例えるのは、我ながらキザすぎたか？と1人反省していると、

「ねぇねぇ、お兄さん」

と、着ている制服の裾が、クイッと引っ張られる。

「どうしたんだい？僕」

…………怖い。名探偵じゃん。

「あのカード、背中についてたって言ってたけど、どういうこと？」

ものすっごい笑顔で、コテンと首を傾げる名探偵。

すっごい猫かぶりモード。ごめん名探偵、全然可愛くない。怖い。

「僕は、外の門の警備に当たってたんだけど、そこで少し騒ぎがあってね、1度そっちに向かって戻ってきたら、あのカードが背中に貼られてたんだよ」

「じゃあキッドはもう現場に来ていると？！」

中森警部が叫ぶ。うるさい。いちいち声を張るな。

「外は身動きが取れないぐらいキッドファンで溢れていたので、多分その隙に貼ったのかと……」

しおらしく言ってみせる。

「よぉし！まだ美術館内に入っていないなら内側の警備を減らせ！外の警備を固めろ！」

ははーん？これがもう入ってるんだな。

「はっ！」

と、周りにうじゃうじゃ居た警官に混じって敬礼し、展示室を後にする。

ぞろぞろと外に走っていく警官とは途中で離脱。

さっきは憶測で言っただけで、制服を拝借した警官の持ち場など知っているわけが無い。

戻ろうにも戻れない。ならばどこかに身を隠すしかない。

ここら辺かー？と、少し移動して天井を見上げる。

ビンゴ♡

天井に、緊急用の戸が見える。

下調べで目をつけていた隠れ場所だ。天井裏から、あちこち動き回れるようになっているはず。

人がいないことを確認し、懐に隠していたワイヤー銃を、天井目掛けて放つ。

時刻は約23時30分。

０時になるまでは、大人しくしておこう。