高嶺の花子と大怪盗２【黒羽快斗】 (ページ37)

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87, 予告直前です②-3 ページ37

階段を駆け上がり、3回の展示室に着く。

「な、中森警部〜〜〜！！！！」

頼りない声でそう叫べば、

「どうした！！」

と、警部が展示室から顔を出す。

全く息は切れていないが、ハァハァと急いで来ました感を出す。

「こ、これが私の背中に！」

深刻そうな顔でキッドカードを見せる。

展示室から、警部、鈴木相談役、お嬢様、蘭ネェチャン、眠りの小五郎がぞろぞろと出てくる。

オールスター勢揃いだな。

げえっ、名探偵もいる……。

警部が俺の手からキッドカードを受け取り、読み上げていく。

「〝警部達が、ガラスの靴に夢中になっている間に、私はシンデレラとなって、カボチャの馬車で消え失せてみせましょう〟？？？？……………はぁ？キッドはふざけているのか？」

警部がキッドカードをぐしゃぐしゃにして、ぺいっと床に投げる。

「警部落ち着いて！それ大事な証拠品！」

警官が、慌ててそれを拾う。

「にしても、いつにも増してふざけた内容じゃな。」

鈴木相談役が警部に向かって言う。

「あのこそ泥の考えることなんて直前になんねぇと分かんねぇよ。毎度キザ過ぎるんだよ。」

中森警部が悪態を着く。

悪かったな、キザで。

「案外そのままかもよ？」

下から声がする。名探偵だ。

「王子から逃げたいシンデレラがキッドなら、シンデレラを捕まえたい王子側の僕たちにとっては、宝石がガラスの靴なんじゃない？」

「ガキは黙ってろガキは！」

眠りの小五郎が名探偵に拳を落とす。わー割と痛そー。

「だって！王子はガラスの靴があったから、シンデレラと結ばれたんでしょ？王子にとってガラスの靴は何よりも大切にしなきゃいけないものでしょ？」

「流石キッドキラーじゃ！」

鈴木相談役が名探偵の頭をわしゃわしゃと撫でる。

いや、考えれば分かるだろ。

全然時間なかったから、直前に作った文章だし。なんなら警部をただ煽るためだけに作ったカードだし。

「じゃあカボチャの馬車って何なのよ。キッド様が本当に馬車で帰るっていうの？」

お嬢様が名探偵に聞く。

「あっはは、それはーないと思うけど……」

名探偵が苦笑い。

「あんのヤロー、相変わらずキザだな。」

ボソッと名探偵が悪態を着く。

聞こえてるからな？本人に聞こえてるからな？まぁ、他の奴には聞こえてないんだろうけど。