高嶺の花子と大怪盗２【黒羽快斗】 (ページ33)

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83, 予告直前です①-2 ページ33

〝「じゃあワンコールで出ろよな？だいたい、なんで敬語なんだよ」〟

『…………、敬語じゃないです。ご要件は……？』

早く本題に入って、早く電話を切りたい。

〝「別に要件なんてねぇよ。
キッドキラーとして、現場に連れてこられたのはいいが、いつも来てるお前がいないと暇でよ。真っ昼間から商店街さまよってた理由とか、隣にいた男のこととか聞くついでに、電話しようと思ってさ。」〟

『………………………』

めちゃくちゃ要件あるじゃない。

やっぱり電話出なきゃ良かった。
私今から問い詰められるんだ。

電話切っていいかな。漫画とかでよくある、あ〜電波が〜ってやつしてみていいかな。

〝「で？オメー本当に何やってたんだ？あとあの男誰だ」〟

『……………………』

何も言えない。言えるわけがない。

〝「昼間からサボるような子に育てた覚えはねーぞ？」〟

『新一に育てられた覚えもないよ……』

どうする？電話切る？切ります？

一人で悶々と、どの行動が最適か考えていた時、

パァァン

と、爆竹の音がした。

『わっ』

と、つい驚きの声が漏れる。

美術館の方からだ。

びっくりした。

ただの推測だが、キッドファンの1人が、はしゃぎすぎたのだろう。

だからってあんな人が集まるところで爆竹はダメだよ。ここまで聞こえてくるもん。

〝「………………なぁ、A。もしかしてオメー今、キッドの予告現場近くにいるか？」〟

！！！！！

『……………………イ、イナイヨー？』

やばいっっ。爆竹ぅぅぅぅ！！！

私は今、快斗と一緒にツーリングに出ていて、美術館近くにはいるはずがないんだから！！！

おそらく電話越しに、爆竹の音が聞こえたのだろう。

新一のいる美術館と、私のいる路地裏では、聞こえる音にも少し時差があるはず。そりゃ近くにいるか疑うよね。

やばい、やばい笑笑。

人は危機的状況を迎えると笑えてくるらしい。

『……………………』

〝「ふーん。じゃあ、気のせいか。」〟

『ナ、ナニカアッタノー？』

〝「いや、こっちの話。気にすんな」〟

『…………………………』

切り抜けた？誤魔化せた？のか？