高嶺の花子と大怪盗２【黒羽快斗】 (ページ32)

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82, 予告直前です①-1 ページ32

Aside

快斗を送ったところよりも、現場に近い路地裏にバイクを停める。

人にあまり見られないように、道を選んでここまで来たので、少し時間がかかってしまった。

というか美術館に向かう人達がたくさんいたので、同じ方向に進みながらあまり姿を見られないようにするのはマジで骨が折れた。

ちなみにここからは美術館も見える。

美術館の上空には大量のヘリコプター。
一つ一つがライトで美術館を照らし出している。

いやめっちゃ明るい。これでもかれってぐらい明るい。下にいる人たち眩しくないのかな。

確か15台だっけ。音もすごそうだ。

ヘリの音と光で大変だろうな、と今頃美術館近くにいるであろう快斗に同情する。

ま、私には関係ないのでどうでもいい。

ぷはっとヘルメットを外す。おお視界良好。

よいしょーとバイクから降りて、その後ろに回る。

そしてナンバープレートに手をかけ、ペリペリと、快斗お手製のフィルムをを剥いでいく。

剥がれたフィルムの下から、怪盗という文字が見えてくる。

さすがに〝怪盗 1412 〟というナンバープレートを、犯行前に人に見られるのはまずいので、偽造のナンバープレートの上から、フィルムのようなものを快斗が貼り付けてくれた。

すぐに剥がれるフィルムだが、正規のナンバープレートと見た目は変わらないので、誰も疑わないだろう。

それにすぐに剥がれるので、わざわざ工具で付け替えるより断然楽だ。

ゴミをポケットに入れて立ち上がる。

んーっと伸びをする。

さて、暇だ。

約1時間ここで待機。

よしっ！

ノープラン！

腕を組んで仁王立ち。

まぁ隼でも眺めておけば、すぐに時間になるだろう。

この角度やばぁ〜と斜め上から見て見たり、しゃがんで見上げて見て見たりしていると、

ピコンピコン

と、携帯が鳴った。

慌てて腕についたポケットからスマホを取り出して画面を見る。

『……………………』

新一だ。

うわぁ、やだな。すごく嫌だな。

おそらく話は昼間の事だろう。快斗の事とか色々聞いてくる気がする。

だが出なかったら、もっとめんどくさくなるのは学習済みだ。

『…………………はい』

〝「A？今大丈夫か？」〟

『……大丈夫です』

〝「ツーリングは？」〟

『結構長い距離走ったので、途中のコンビニで休憩中です…………』

私もたいした嘘つきになったもんだ。スラスラと口から嘘が出る。