高嶺の花子と大怪盗２【黒羽快斗】 (ページ30)

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80, 緊張と緩和②-2 ページ30

またポンッという音と共に煙を出す。

だがその手にはバラが消える代わりに別のものがある。

『HONDA ヴィンテージバイクシリーズ Vol.2のガチャガチャ…………』

「説明ありがとう」

『え、え？えっ』

Aが、俺とガチャガチャを交互に見る。

今、俺の手の中にあるこのガチャガチャは、Aがどこを探しても見つからないと嘆いていたものだ。

ありがとう。ツテのツテのツテ。

詐欺だろと怒鳴りたくなるほど、高く売られているメル〇リに、頼るかと悩んでいたところ、俺の素晴らしい人脈のおかげで、新品未開封を無事ゲット。

「これは今日の報酬。本当はは終わったあとに渡すつもりだったんだけどな。」

『か、快斗〜〜〜♡』

あわよくばハグしたいと、悪ノリしてバッと両手を広げる。

んふふ♡と笑って断られる。

緊張は解けたようだが、ひとつ言っておきたい。

にこにこで諦めろと見つめてくるAに、

「A、」

と、名前を呼ぶ。

声のトーンや表情からシリアスな雰囲気になってしまう。

これは俺の自己満足だ。

Aへの罪悪感を、少しでも減らしたいだけだ。

スゥっと息を吸い込んで、口を開く。

「巻き込んじまって本当に悪いと思ってる。」

声が少し震える。Aの目を真正面から見れず、スっと目をそらす。

もっと他に上手く言えただろ、と言ってしまった後で後悔する。

いや、言わなければ良かった。Aに許されること前提の発言だ。

Aを巻き込んだことを、しょうがないと言えばそれまでだ。

だがそれだけで終わらせたくない。

自信も余裕もどうやって出したっけ。弱気な自分が情けない。