高嶺の花子と大怪盗２【黒羽快斗】 (ページ26)

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76, 彼ライダースーツ②-3 ページ26

「ちょっと待ってろ。サラシは無いけど、似たような薄い布持ってきてやる。」

奥の部屋に行き、あーーーーー！！っと顔を覆う。こんなことで動揺して、無事告白できるのだろうか。

パン！っと頬を叩き気合いを入れ直す。

マジックの小道具の棚から、ヒラヒラの薄い布を取り出す。そこそこ長いから、これならサラシ代わりになるだろう。

「………………………」

絶対洗わねぇ。

そう心に決めてリビングに戻り、Aに渡す。

『お〜流石、なんでもある家』

ありがと〜と受けとり、部屋を出ようとするAに、

「一人で巻けるか？」

と、ニヤニヤと聞く。

顔を赤くしてうるさいと怒鳴るAが見たくて、ついからかってしまうのは俺の悪い癖だ。

『何巻きたいの？』

思っていた反応とは真逆で少し驚く。

だが、

「任せていただけるなら喜んで」

と、笑顔で手をワキワキと動かしながら近づけば、Aは俺を冷めた目で一瞥し、ズバァンと扉を閉める。

つい笑い声が漏れる。

ダメだな。

好きな子にかまって欲しくてからかうとか小学生かよ。
倫理でやったぞ防衛機制。

Aが投げてきたティッシュ箱を、元あった場所に戻す。

数分待つと、ガチャっとリビングの扉が開き、Aがじゃじゃーんと部屋に入ってくる。

「おお！すげぇ、ぺったんこ」

Aの胸がない。

これでヘルメットを被れば、意外と女だとは分からないだろう。

だが、Aの胸がない。

「青子みてぇだな……」

心の中で呟いたつもりが、口に出ていたらしい。

Aがまたそばにあったティッシュ箱を、俺に向かって投げてきた。