高嶺の花子と大怪盗２【黒羽快斗】 (ページ25)

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75, 彼ライダースーツ②-3 ページ25

『胸潰す用のブラとか、持ってますか………』

…………………………oh なるほど。

「持ってねぇな……そもそも潰す胸がねぇからな………」

Aが明らかに落胆する。

「なんだ？胸が目立つのか？」

『デリカシー💢』

Aの近くにあったティッシュ箱が飛んでくる。

「さすがに俺が完璧主義者だからって、変装でブラにこだわるほど変態じゃない」

パシッとそれをキャッチしながら言う。

誤解されちゃ困る。俺はスケベて、スケベだしスケベだが、下着を愛してやまない訳じゃない。

まぁ、変装対象にそういうブラをつけている人がいなかったから持っていないという理由もあるが。

『…………どうしよ』

Aが言う。まぁ、ここは俺の家だし、俺に頼るしかなかったのだろう。

「ちょっとこっち出てきてみ？」

死ぬ準備はできている。死因が彼ライダースーツなら本望だ。

『…………………………』

めちゃくちゃ迷った末に、Aがリビングに足を踏み入れる。

あ、やばい。

ブッッッと鼻血が吹き出して、鼻を押えて床に跪く。

彼ライダースーツもやばいが、Aが俺の私物を着ているという事実がやばい。

『え………………』

困惑というか引き気味の声が聞こえる。

『待って、鼻血出てるっ』

床に落ちた血を見て、慌てて先程投げたティッシュ箱を取りに行こうとするAを、

「動くな、頼む動くな」

と手を上げて制止する。

『いや、鼻血…………』

「大丈夫、気合いで止めた」

『？？？？？？』

聞いて驚け？鼻血は気合いで止まるのだ。

こちらをじっと見て固まるA。そしてその目線が机の上のチョコレートに移動する。

おそらく鼻血の原因を、チョコレートの食べ過ぎだと勘違いをしていそうだ。チョコの制限なんてたまったもんじゃない。

「違う。可愛さが鼻にきただけだから。チョコ食べ過ぎたとかじゃないから。制限しなくていいから。」

そう言って立ち上がる。