高嶺の花子と大怪盗２【黒羽快斗】 (ページ24)

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74, 彼ライダースーツ②-2 ページ24

名探偵には、絶対にバレてはいけない。

Aも一応、犯罪者の片棒を担ぐ訳だし逮捕されるなんてことがあったら、俺は正気じゃいられないだろう。

実を言うと少しビビってもいる。Aに何かあった時、自分がどのような行動に出るのか俺ですら分からない。

『………あれ？私、新一が来るって言ったっけ？』

Aが俺に聞く。

「Aを迎えに来たお嬢様のリムジンを見たからな。お嬢様がいるなら、あの蘭姉ちゃんも来るだろうし、そのオマケで名探偵も来るだろ？…………………マジで来なくていいんだけど」

ははは……と、Aが笑う。

ホントに、もうホントにマジで来て欲しくない。好敵手なんてよく言うぜ。

あの殺人サッカーボールなんて、正義なんかじゃない。

一方的な暴力だ。弱いものいじめだ。

ああ、やめやめと名探偵のことは頭から追い出し、ほれ、とAに俺のライダースーツを渡す。

彼シャツ、彼スーツならぬ彼ライダースーツ。

まだ(・・)彼女じゃないが。まだ(・・)…………

どこで着替えようかとAが辺りを見回すと、俺とパチッと目が合う。

ソファで足を組み、肘掛に頬杖を着いて“さぁどうぞ！！！”っと胡散臭い笑顔で笑ってみせる。

『…………お風呂場の、脱衣所借りるね♡』

そう笑顔で返される。そしてそのままリビングをスタスタと出ていく。

不満そうにして見せるが、内心それどころじゃない。
彼(違う)ライダースーツという事実がもうやばい。

買ってみて小さかった服などは、たまにAにあげたりするが、俺の私物をガッツリAが着るのは初めてだ。

え、やばい。え？やばい(2回目)。

俺は真顔でパニック状態。

純粋にAの身バレを考えて言った言葉が、こんな展開になるとは思ってもいなかった。

着替え終わったのか、扉の向こうから足音が聞こえて、サッとスマホを見ているフリをする。

『かいとー』

とリビングの扉が開いてAが顔だけを出す。

「ん？」

きっとこの日のために親父はポーカーフェイスを教えたんだろう。(※違う)

どうしたー？っと平静を装う。

『……………………』

「なんだよ」

黙ったままのAに、不思議になって聞く。

「…………A？」

フゥーっとAが謎の深呼吸。覚悟を決めたのかバッ！っと俺を見る。