高嶺の花子と大怪盗２【黒羽快斗】 (ページ23)

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73, 彼ライダースーツ②-1 ページ23

快斗side

隼で俺の家へと向かう。

Aは、タンデムでの2人乗りの運転は初めてだったようだが、流石バイク好き。スムーズに運転しすぎて何も言えなかった。

駐車場で騒いだり、夕飯の弁当をスーパーで買ったりしたせいで、家に着いたのは8時半を過ぎていた。

2人で弁当を食べながら

「10時ぐらいには、美術館に着きてーな」

と、これからの予定をAに話す。

『え、早くない？予告まで2時間もあるじゃん』

「まぁ今回は特別、俺が出した予告じゃねーからな。美術館の間取りや警備システムは一応調べたけど、自分の目で全部確認しときてーし」

『な、なるほど』

「それに、例の盗賊団が関わってくるってんなら、絶対何かしら仕掛けてきそうだしな」

Aより先に弁当を食べ終わる。

俺が食べ終わるのを見て、〝えっ早っ〟とAがこちらを二度見する。

急いで食べ始めるAを見つめる。

普通に食べているはずだが、現に今も、もぐもぐ一人前の弁当を食べているのだが、その体はとても華奢だ。

腕なんか掴めば折れてしまいそうだ。

身バレ防止のためにも、カモフラージュしといた方がいいかもな。

そしてAが弁当を食べ終わるのを待って、

「よし、A！そのライダースーツを脱げ！」

『え』

立ち上がり、ビシィっとAを指さして言う。

Aはサッと手で胸を隠すポーズをとる。

ライダースーツの上から、膝上まである長めのパーカーを着ているAは、胸を隠したポーズのまま動かない。

何この反応。

「あっ、違う違う違う」

問題発言に気づき、慌てて手を横に振る。

「Aのライダースーツ脱いで、俺のやつ着てくれってこと」

『いや分かるかぁ！』

Aがツッコミを入れる。

確かに俺は自他ともに認めるスケベだが、流石に好きな子相手に服を脱げと言うほど、人格が終わっているわけじゃない。

『……………どうして？』

どうせ俺のライダースーツ着るなら、着替えても一緒じゃん、とAが首を傾げる。

「ほら、俺のライダースーツってAのと違って男物だろ？身バレ防止のためにも、なるべくAとは真逆の人間を装っておく方が良いと思って。」

なんだか弁解するようになってしまった。

『なるほど』

「それに、性別も男って思わせとく方が身バレしにくそうだし。今日、名探偵来るなら尚更。」