高嶺の花子と大怪盗２【黒羽快斗】 (ページ21)

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71, 彼ライダースーツ①-3 ページ21

「さすがに俺が完璧主義者だからって、変装でブラにこだわるほど変態じゃない」

パシッとそれをキャッチしながら快斗が言う。

真顔で言われるとちょっと怖い。

『…………どうしよ』

「ちょっとこっち出てきてみ？」

『…………………………』

嫌だけどここで駄々をこねる訳には行かない。

こんな姿を快斗に見られたくないが、渋々リビングに足を踏み入れる。

するとその瞬間、ブッッッと音がして快斗が鼻を押えて床に跪いている。

『え………………』

困惑というか引き気味の声が漏れる。

『待って、鼻血出てる』

慌てて先程投げたティッシュ箱を、快斗に持っていこうとすると、

「動くな、頼む動くな」

と快斗が手を上げて私を制止する。

『いや、鼻血…………』

「大丈夫、気合いで止めた」

『？？？？？？』

気合いで止めるとは？そもそも鼻血は気合いで止まるものなの？？？

はーん？まーたどうせチョコ食べすぎたんでしょ。

食べすぎて鼻血出すくらいなら、無理やり制限した方がいいのかな。

「違う。可愛さが鼻にきただけだから。チョコ食べ過ぎたとかじゃないから。制限しなくていいから。」

私の心を読んだかのように快斗が言う。

「ちょっと待ってろ。サラシは無いけど、似たような薄い布持ってきてやる。」

そう言って快斗が奥の部屋に消えていって、すぐに戻ってきた。

その手にはヒラヒラの薄い布。そこそこ長い。

『お〜流石、なんでもある家』

ありがと〜と受けとり、部屋を出ようとすると

「一人で巻けるか？」

と、快斗がニヤニヤと聞く。

『何巻きたいの？』

と返せば、私の反応が思ってていたものとは違ったらしく、少し驚いた顔をする。

だがすぐにからかう顔に切り替わり、

「任せていただけるなら喜んで」

と、手をワキワキと動かしながら近ずいてくる。

私は快斗を冷めた目で一瞥して、ズバァンと扉を閉める。

扉の向こうから、楽しそうな笑い声が聞こえた。