高嶺の花子と大怪盗２【黒羽快斗】 (ページ3)

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Aも俺の横に座り直し、

『ほんとにキッドのマントと、私に何の関係があるの』

と、俺の方を見る。

「前回の予告で、マントが破けたんだよ。だけど予備のマントが親父が使ってた頃のしかなくて、今のハングライダーとサイズが少し違うんだよ。」

俺はニコニコとAを見る。

『うん、それで？』

Aもニコニコと俺を見る。

「マントの長さが足りねぇから、ハングライダーが使えないんだ。つまり、俺今、飛べねぇの。」

『うん、それで？』

相変わらずニコニコと笑ったままのAと俺の会話にハラハラする寺井ちゃん。

「怪盗キッドのマントって、普通の布じゃないんだよ。注文してもそれなりに時間がかかる。だから当分、予告状は出さないつもりだったんだけど」

『予告状出ちゃったもんね』

2人でふふふふふと笑う。もうそろそろ察しているはずだ。

「Aチャン､バイク好きだよね」

俺が笑顔のまま言う。Aの顔が少し引つる。

「ぜひ大好きなバイクで迎えに来て欲しい」

にっこにこでそう言うと、Aも負けじと笑顔を返す。

んふふふふと見つめ合う俺たちに、寺井ちゃんがまたハラハラと困惑する。

『巻き込まないで〜』

先手必勝、とばかりにAが笑顔で言う。

「鈴木財閥関係だから名探偵も来るぜー？」

俺も笑顔で言う。

『尚更行きたくないな〜』

んでだよ。名探偵好きだろ。

「しょうがねぇな」

ハァっとため息をつく。もので釣るようなやり方はしたくなかったんだが。

「スズキ Hayabusa 25周年特別仕様車」

Aの耳元で、そう呟いた。するとAの動きがピタッと止まる。

『スズキ Hayabusa 25周年特別仕様車……』

そして呪文のようにそれを繰り返す。

「迎えに来てくれるってんなら、乗れるぜ？今日。」

俺はニヤっと笑う。

Aがゴクリと生唾を飲む。

バイク好きなら1度は憧れるスズキの隼。

しかも300台限定で、応募者の中から抽選で当たるという、あの25周年特別仕様車。

Aも喉から手が出るほど欲しがっていたが、200万円なんて用意出来ずに、スペシャルサイトばかり眺めていた。待ち受けにさえしていたほどだ。

拓真さんに頼めば絶対買ってくれただろうに。あの人、Aに激甘だから。