高嶺の花子と大怪盗２【黒羽快斗】 (ページ20)

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70, 彼ライダースーツ①-2 ページ20

『………あれ？私、新一が来るって言ったっけ？』

「Aを迎えに来たお嬢様のリムジン見たからな。お嬢様がいるなら、あの蘭姉ちゃんも来るだろうし、そのオマケで名探偵も来るだろ？…………………マジで来なくていいんだけど」

私は、ははは……と笑う。

私は新一の殺人サッカーボールを受けたことは無いけど、彼はいつも受ける側だ。

そりゃあ来て欲しくないだろう。

どこから取りだしたのか、ほれ、と快斗のライダースーツを渡される。

彼シャツ、彼スーツならぬ彼ライダースーツ。

いやっ彼氏じゃないけど！！！

どこで着替えようかと辺りを見回すと、快斗とパチッと目が合う。

ソファで足を組み、肘掛に頬杖を着いて“さぁどうぞ！！！”っと清々しい笑顔でこちらを見ている。

『…………お風呂場の、脱衣所借りるね♡』

そう笑顔で返すと、チェっと不満そうにされる。

いやここで着替えるわけが無いでしょ。

脱衣所でロングパーカーとライダースーツを脱ぎ、快斗の物に着替える。

快斗の匂いがして少し恥ずかしい。

着替え終わって鏡を見ると、腕も足も、特に腰周りなんかはブカブカだ。

『……………………』

自分の胸を見て固まる。

『………………胸、目立つな』

全部がブカブカだからこそ、胸が目立つ。胸だけちょうどいい。何ならちょっと苦しい。

『…………………………』

ハァァァァァァッと長いため息を吐く。

どうにかしようにもここは私の家じゃない。頼れるのは一人しかいない。

あの変装が得意な完璧主義者に……

聞いてみるか…………

脱衣所を出てリビングに向かう。

『かいとー』

と扉を開けて、顔だけ出すと、

「ん？」

っとスマホを見ていた快斗がこっちを見る。

『……………………』

「なんだよ」

黙ったままの私に、快斗が不思議そうに聞く。

女子だもん。それに相手が想い人ときた。この質問には覚悟が要ります。

「…………A？」

フゥーっと1度深呼吸。ええい！言っちゃえ！！！

『胸潰す用のブラとか、持ってますか………』

言いました。よく頑張りました私。

「持ってねぇな……そもそも潰す胸がねぇからな………」

散りました。でもよく頑張りました私。

「なんだ？胸が目立つのか？」

『デリカシー💢』

近くにあったティッシュ箱を快斗に向かって投げる。