高嶺の花子と大怪盗２【黒羽快斗】 (ページ19)

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69, 彼ライダースーツ①-1 ページ19

Aside

隼で快斗の家へと向かう。

タンデムの2人乗りは初めてだったが、思っていたよりもスムーズに運転することが出来た。

後ろに乗った快斗の腕が、私の腰に回っていたのは気になってしょうがなかったが。

駐車場でわちゃわちゃしたり、夕飯のお弁当をスーパーで買ったりしたせいで、快斗の家に着いたのは8時半を過ぎていた。

2人でお弁当を食べていると、

「10時ぐらいには、美術館に着きてーな」

と、快斗が言った。

『え、早くない？予告まで2時間もあるじゃん』

「まぁ今回は特別、俺が出した予告じゃねーからな。美術館の間取りや警備システムは一応調べたけど、自分の目で全部確認しときてーし。」

『な、なるほど』

「それに、例の盗賊団が関わってくるってんなら、絶対何かしら仕掛けてきそうだしな」

先にお弁当を食べ終わった快斗が言った。

そして私が食べ終わると、

「よし、A！そのライダースーツを脱げ！」

『え』

快斗が立ち上がってビシィっと私を指さして言う。

私はサッと手で胸を隠すポーズをとる。

一応ライダースーツの上から、膝上まである長めのパーカーを着てはいるが、中のライダースーツを脱げとは、何事か。

快斗がスケベな事は知っているが、こうも堂々と変態発言をされると反応に困る。

胸を隠したポーズのまま動かない私を見て、

「あっ、違う違う違う」

と、快斗が慌てて手を横に振る。

「Aのライダースーツ脱いで、俺のやつ着てくれってこと」

『いや分かるかぁ！』

ツッコミを入れるが、疑問が浮かぶ。

私のライダースーツと快斗のライダースーツのどこが違うんだ。快斗のは防弾性でもあるとか……？？？

『……………どうして？』

と聞けば、

「ほら、俺のライダースーツってAのと違って男物だろ？身バレ防止のためにも、なるべくAとは真逆の人間を装っておく方が良いと思って。」

と、先程の変態発言を弁解するように快斗が言う。

『なるほど』

「それに、性別も男って思わせとく方が身バレしにくそうだし。今日、名探偵来るなら尚更。」

確かに正体がバレるのは困る。

一応私も今日から犯罪者になる訳だし、逮捕されるのは嫌だ。