高嶺の花子と大怪盗２【黒羽快斗】 (ページ17)

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67, ポーカーフェイス②-1 ページ17

快斗side

Aが持ってきてくれたアイスノンで急いで顎を冷やし、何とか顎の腫れを阻止することが出来た。

「顎割れたかと思った」

と、情けなくも涙目で言う。

だが冷やしているうちに、痛みはだんだんと薄れていく。

アイシングには痛みを緩和する効果があるらしい。

２〜３分冷していれば、完全にとはいかないが痛みが感じられなくなる。

「そろそろ俺ん家行くか」

と、ずっと駐車場にいるのもなと、Aが持ってきてくれたたアイスノンを返す。

それを受け取ると、Aが俺の顔をじっと見る。

なんだよおい。かわいいな。

『…………………』

「どうかしたか？」

『……ポーカーフェイスしてない？』

「へ？」

『痛いの我慢してない？』

俺がよくポーカーフェイスで本心を隠すので、今も痛みを我慢していると疑っているのだろう。

俺にとって親父の教えは絶対だが、Aの前だけは例外だ。

こいつの前では、Aの前だけでは素の自分でありたい。

まぁ怪我などは知られると少し面倒なので隠しがちだが。

……バレるけど。

じっと見つめてくるAに、フッと優しく笑って見せる。

「我慢してねーよ。てか、Aの前ではほとんどポーカーフェイスしてねぇから」

『ほとんど……』

「そう、ほとんど」

ただのAにではなく、想い人であるAに対してなら話は別だ。

『じゃあどんな時にポーカーフェイスしてるの？』

Aの問いに

「お前それ聞くか？」

と、少し呆れる。

分からないらしく、AがYESと頷く。

少しは察して欲しい気持ちと、こんな駐車場で気づかれたくない気持ちが混ざり合いじれったい。

一瞬考えて、

「んー、こんな時とか？」

と、グッとAの手を引く。

わ、っとAが俺の方に引き寄せられ、鼻と鼻が当たるほどAの顔が目の前に来る。

思考停止するA。

“こういう状況でポーカーフェイスをする”

回りくどい言い方だが、分かる奴には分かるはず。

俺だって、想い人の顔がこんなに近くにあって平気な訳がない。

Aがだんだん赤くなる。

お？

キャパオーバーか？

Aがとりあえず離れようと、俺の胸板を押してくるが、がっちり腕を掴んでいるのでビクともしない。