高嶺の花子と大怪盗２【黒羽快斗】 (ページ12)

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62, あゴッッッ！！！！②-1 ページ12

快斗side

俺達は一旦、それぞれの家に帰ることにした。

マンションまでAを送り、さて帰ろうかとしたところでスマホが鳴る。

寺井ちゃんだ。

寺井ちゃんはAのマンションの前に、隼を運んできてくれる手筈になっている。

「もしもし？」

〝「坊っちゃま、今どちらに？」〟

「Aの家の前だけど。」

〝「！！！良かったです！

もうすぐバイクと一緒にAちゃんの家に着きますので、そこで待機して貰えますか？」〟

「いいけど、なんかあった？」

〝「実はAちゃんが乗るはずのバイクの鍵が、倉庫に置いたままになっていて。予備は私が持っていましたので……」〟

「あ〜」

あいつ忘れてったのか。

「でもなんで俺に？別にいいけどよ」

〝「Aちゃんにそのまま届ければ良いのですが、もし先に坊っちゃまが気づかれて、私がAちゃんに鍵を渡しに行っているすきに、坊っちゃまがバイクをピッキングしようものなら、Aちゃんに嫌われかねないかと」〟

「いや、流石にしねーよ。したとしてもどんな確率だよ」

そんなことをしたら、間違いなく拳が飛んでくるだろう。

家の鍵のピッキングはOKなのに、バイクのピッキングはアウトという少しズレた感覚で生きているのがAだ。

寺井ちゃんとの電話を終え、駐車場に向かおうとしたところ、黒いリムジンとすれ違う。

視力2.0の目を凝らして、リムジンの中を見ようとする。

うっすらとボブカットのシルエットが見える。

「げっ、お嬢さまじゃん」

ボブカットにリムジンと言えば鈴木財閥のお嬢さましかいないだろう。

まぁここに来た大体の予想はつくが。

キッドの予告現場にAを連れていくため、迎えに来たのだろう。

黒羽快斗として面識は無いが、キッドファンのお嬢さまに顔を見られるのは気が引けるので、そのまま駐車場に向かう。