高嶺の花子と大怪盗２【黒羽快斗】 (ページ11)

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61, あゴッッッ！！！！①-3 ページ11

ベランダから部屋に戻ると、ピコンとスマホが鳴る。

メールだ。

送り主は寺井ちゃん。

マンションの駐車場に隼を届けてくれたらしい。

運んでもらった隼で、私が快斗の家に行く手筈になっている。

隼はタンデムバイクだから、例の倉庫から私と快斗で乗って帰れば良かったのだが、生憎ヘルメットが一つしかなかった。

そこで、“ 今回何も出来ていないので、私が運びます”と寺井ちゃんが申し出てくれた。

何も出来てないとか謙遜し過ぎだと思うが、私たちはお言葉に甘えさせてもらう。

寺井ちゃんは、今日古くからの友人の体調があまり良くないようで、お見舞いに行くことになっている。

寺井ちゃんに、ありがとうの返事をしてスマホを閉じようとした時、通知がえげつないことになっているのを発見する。

新規メッセージ167件って何……

桁間違ってないか？

開いてみると、クラスメイトからのラインだった。

青子や紅子ちゃん、白馬君からまでも心配の声が届いている。

そういえば私、今日学校で快斗に拉致られたんだった。

心配してくれるのはありがたいけど、会ったらものすごく問い詰められそうで怖い。明日土日で良かったなと心から思う。

みんなには悪いけど、適当に誤魔化した返事を返す。まぁ、魔女である紅子ちゃんにはすぐバレちゃいそうだけど。

時計を見れば夜7時半すぎ。

そろそろ快斗の家まで行くかと、財布や携帯など最小限のものを持って家を出る。

エレベーターで1階の駐車場に降りる。

薄暗い駐車場に、一際輝いている隼。

『はうっ』

隼のカッコ良さが心臓に来る。

「オメー1人で何やってんだ」

『いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ』

私の真後ろで聞こえた声に、誰かも確認せずにアッパーカット。

「ぐへっ」

と、間抜けな声がして、その声に我に返る。

『え……快斗』

それは家に帰ったとばかり思っていた快斗だった。

顎を押えて駐車場の床にうずくまったまま動かない。

現場に現れた、みんなの憧れキッド様の顎が腫れていたら世間はどう思うだろうと、動かない快斗を見て1人考えた。