高嶺の花子と大怪盗２【黒羽快斗】 (ページ2)

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52, お願い②-1 ページ2

快斗side

「てことで皆さんお待ちかね！キッドクイズでーす！」

俺はイェーイ，パチパチ〜と手を叩く。

何がお待ちかねで、何がイェーイなのか分からないという顔でこちらを見るA。全部顔に書いてある。なんて分かりやすい。

「正解者には！Aがここに連れてこられた理由をプレゼントしまーす！」

俺がアハハハハと笑うが、

『…………』

と、Aは無反応。

俺はスっと立ち上がり、少し開けた場所に立つ。

そしてバサァっと怪盗キッドに早変わり。

『え』

Aの驚いた声が聞こえる。

怪盗キッドと黒羽快斗に向ける目が全然違うことに、少なからずショックを受けるがポーカーフェイス。

「そこの可愛いお嬢さん？いつもの私と，どこか違うところがありませんか？」

恭しくお辞儀をしてみせる。

「正解したら、私の熱い抱擁を差し上げますよ」

『……………………』

ガン無視でキッドの観察を始めるA。

つい悲しくなる。

『顔！』

「違います」

自信満々にビシッと言われ、ますます悲しくなってくる。え、そんな顔に出てた？

ん〜と悩むA。好きなだけAを見つめられるのは役得だ。

『マント……』

そしてAが呟いた。

そう、
ほんの少しだけ、マントがいつもより短くなっている。

「ピンポーーン！正解でーす。さて、では熱い抱擁を……」

俺はジリジリと両手を広げてAに近づいて行く。

あ、やべっと、Aは立ち上がって後ろに下がる。

『キッドのマントが短いことと、私何も関係ないよね？！』

Aがジリジリと後退しながら言う。

「大ありですよ」

ジリジリと前進しながらそう言い返す。

とうとう壁際まで追い詰められたAは、迫ってくる俺を躊躇なく押し返しながら、寺井ちゃんに目で助けを求める。

「坊っちゃま、ほどほどに……」

寺井ちゃんがため息をついて言う。

ポンっと音をさせ、煙とともに学ランに早着替え。

寺井ちゃんに言われたらしょうがない。

素直に元いた席に戻る。