【d!】しかばね (ページ5)

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・「手伝ってくれないの？」

「僕まだ死にたくないもん」

ベルを貸してくれるだけ優しいってことか。

ボーン、とどこからか古時計の音がする。鬱サンが慌てて椅子から立ち上がり、わたしを持って床に下ろした。

「もうアイツらが起きてくる時間だから、部屋に帰った方がええよ。お腹すいたら食堂までおいで」

そうとだけ言い残して鬱サンは消える。ボーン、と二度目のカウント。下手すれば死に続く階段を見上げて、わたしは意気込んだ。二度目なんて迎えてやるものか。

◇

上りきった先でばったり！なんてことはなく、ベルから出る金属音の苛立たさにようやく気づく。これじゃあ自分の居場所を伝えてるようなものじゃないか。歩いたら捕まっちゃうかもしれないし、走ったら問答無用でベルが居場所を知らせるし。

ああもう、やさしいひとに会えますように。

挟まれたらもう終わりの廊下を音を立てないように歩く。裸足のぶん静かに歩けるから、このままわたしの部屋まで誰にも見つからずに.......！

「ア」

ずる、と影から落ちてくる頭。確かにいなかったはずなのに、棚の横に誰かが立っていた。

絨毯の上を転がるのは何度見ても頭で、暗がりにあるのは何度見ても首なしの体で、これはどう考えてもやさしいひとではないことが分かった。

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