【d!】しかばね (ページ17)

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ㅤわたしの手にそれを握らせて、鬱サンはわたしの首に手を添える。シャオロンサンの部屋での出来事が一気にフラッシュバックして、硬直したわたしを他所にながい指はチョーカーの上をおどっていく。

「ここにいる奴らは、感情の揺れが激しいって言ったよな」

「う、ん」

「しかばねちゃんって見たそばからやわこそうやったから言わんとったけどな、激しいって、暴力に走ることばかりじゃないんやで。シャオロンと会ったならわかると思うけど」

シャオロンサンは、初対面のはずのわたしに大きすぎる恋...いや、愛を抱いていた。暴力に走ることばかりじゃないって、それって、あんな人間から十歩くらいズレた危ないヤツらに恋慕を抱かれなければならないってことで。

首を一周なぞり終えた指は喉仏を爪でとん、とん、と一定のリズムでたたき始め、ゆるく送られる振動にもどかしさを感じた。普段なら他者からあたえられるはずのない行動がむず痒い。

「鏡って、な。首締められたんやろ」

とん、とん。

苛立つように喉仏をたたく回数が多くなっていく。

「ね。ええなあ。俺もしかばねちゃんの首、絞めたいなあ。だめ？」

「だ...め、」

「あㅤ今悩んだ？ㅤえへ、やっぱり優しくしといてよかったあ」

嘘で固められたやさしさにまんまとハマってしまったのだと、そこで初めて気付いたのだ。

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