【d!】しかばね (ページ14)

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・ハッとして起き上がれば、見慣れた薄っぺらいシーツがてのひらを撫でた。ベルはまだわたしがにぎっていて、心做しか鬱サンがくれたものよりも錆びているような気がする。気のせいかな。

「つかれたあ...」

この場所に日にちという概念があるかは分からないけど、これでもまだふつかめだ。さすがに怒涛すぎる。

……シャオロンサン、あのひととは仲良くなれると思ってたんだけどなあ。いくら感情の揺れが激しいって鬱さんに忠告されてても、シャオロンサンくらいならわたしにだって扱えると思ってたのに。

あの、わたしの首元に添えられたおおきな手を思い出す。まだほのかに痛い箇所に触れてみれば、ビリッと衝撃が走った。鏡がないからいまどんな風になっているのかが分からないのが惜しい。

鬱サンなら持ってるのかな。

「もらいに行こう」

思い立ったらなんのその。自惚れだとは思わないけれど、わたしにあんなことするくらいだからシャオロンサンに好感を持たれているのは分かっていた。そんなわたしが悲痛なかおで逃げたのなら、言葉にもならぬ苦々しさを抱いているんじゃなかろうか。

ならば、行くなら今しかない。鬱サンがどこにいるのか知らないけど。

「鬱サンの部屋」

ベルを振る。錆が擦れた不発の音がして、今度はちゃんと鳴るように思いっきり腕を下ろした。

...りん

わたしの周りをひかりが包む。もはや慣れた光景だ。すこしだけ黒っぽいひかりは勢いを増して、一瞬だけ意識がブラックアウト。

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