8 コンビニ ページ9
「任せてしまってすまなかったね、独歩君」
「いえいえ、俺は何も出来ませんでしたが...」
助かったよ、と先生に言われれば心が嬉しくなった。
この歳なのに褒められてまだ嬉しいと感じてしまう俺が恥ずかしい。
Aさんの障害の事を聞いた後、先生が戻ってこられてAさんは今日は帰宅する事になったらしい。
医者が帰宅だなんて、やはりそれほど重たい物を彼女は背負っているのだと重々承知された。
先生とお話をし、いつものお薬を出して頂いた為帰ろうとした時声をかけられた。
「独歩君、君は酷くお人好しだから私から1つアドバイスをしておくよ。
──目の前にあるものが真実とは限らないよ。
では、また近い内に一二三君と3人で会いましょう」
そう言って手を振る先生に深いお辞儀をしながら病室を出た。
いつも貰うアドバイスとは明らかに込められている意味が違うのが俺でも分かった。
言葉の意味まで察することは出来なかったが。
メモ帳の1番最後のページの隅に書いておいた、何か分からないが残しておいた方がいい言葉な気がしたんだ。
自動ドアが開き外気が何も纏われていない頬に刺さるように当たる。
時刻は4時、意外と時間が経つのは早いものだ。
3月の昼間が寒いのだから夕方はもっと寒い、今日の夕飯は何だろうか。
そう言えば今日は一二三が居る日だ、何か酒のつまみでも買っておこう。
病院の近くのコンビニに足を運んだ。
「砂肝美味そうだな...
それと、烏賊(イカ)の燻製...
寒いし温かい珈琲も2つ」
一二三の為にと思ったが完璧に俺の好みになってしまった。
レジに行き、商品を受け取る。
コンビニから出れば今買った珈琲の蓋を開け、冷えた喉に流していく。
体内が温かくなっていくのがわかる、美味しいと思いながらまた足を進める。
すると肩をツンとつつかれた。
てぃ、ティッシュ配りの人か...?
今週で12個目になるから流石に要らないし申し訳ないんだが...
すみません、と言いながら後ろを振り向くと
「」
言葉が出なかった。
先程別れたはずのAさんが立っていた。
話によるとAさんもコンビニに行っていて、今から帰るとこを偶然俺を見掛けて反対方向ながらも来てくれたらしい。
天使か、いや女神か...
「また来た時は私の所にも顔を出してくださいね」
とだけ言って帰ろうとしたAさんに俺は申し訳ないと思い先程買った珈琲を渡した。
「独歩さん、
これ烏賊の燻製だけど」
「え、?
あぁぁ!!」
恥ずかしい...。
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←7 彼女の事
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走るプリン(プロフ) - のん民さん» 変えておきました,教えて頂き有難う御座いました! (2019年3月15日 7時) (レス) id: 83f0796dfa (このIDを非表示/違反報告)
走るプリン(プロフ) - のん民さん» 読んで頂き有難う御座います.少し特殊な矢印を使っていたのでもしかすると文字化けして見える方が居るのかも知れません。 (2019年3月15日 7時) (レス) id: 83f0796dfa (このIDを非表示/違反報告)
のん民(プロフ) - ちなみに私はパソコンで見てるので、もしかしたらスマホやiPad、DSなどで見てる方は大丈夫かもしれないです、そこら辺はよく分からないですが(⌒-⌒; ) (2019年3月15日 3時) (レス) id: 8246ba9fb8 (このIDを非表示/違反報告)
のん民(プロフ) - 面白そうです、お気に入り登録しました、更新頑張ってください。 それからひとつ、ページ1自己紹介のところなのですが名前や齢の後の、おそらく記号なのでしょうか?その部分が文字化けしています。 (2019年3月15日 3時) (レス) id: 8246ba9fb8 (このIDを非表示/違反報告)
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