102. 終結 ページ9
「"睦月の死"はA自身の"破滅"をもたらす」
「!!」
だからAは、幾度となく呪詛師からの襲撃から睦月を守ってきていたのだと、二階堂は言った。
「…文言の解釈によって、意味合いが大きく異なるらしい」
二階堂は未だ、京都を蔓延る呪霊達と戦いを繰り広げているAの姿を目で追っている。
「それにより、呪詛師が何度睦月を殺そうが、Aが転移術で蘇生させる。その繰り返しだ」
「……」
「――…Aは、睦月を生かすためなら、自分の命ですら喜んで捧げる」
そんなの間違っている…、そう二階堂は悔し気に言った。七海はAという人物に興味を抱いた。それは今まで睦月から聞いていた彼女の印象とは大きく異なるからだ。
「(…あの当時感じた印象は、勘違いではなかった…か)」
すると視線の先にいたAが、片膝をついていた。相当呪力消費と体力の消耗が激しいようだ。
それでも大半の呪霊を倒すことは出来ていて。次第にAが召喚した呪霊達の数は減っていき…、気づけば複数体の怨霊だけになっていた。
そして―…
「…帳が解けた」
「……」
京都に蔓延っていた呪霊は全て、Aによって対峙された。二階堂はAの元へ向かおうとするが、七海はその場から動かない。
「…?あぁ、別に強要はしない。Aに加担するということは、上層部の連中に目を付けられかねないからね」
君はあくまで規定側の人間だから、呪詛師認定されているAに深く関与する必要はない。睦月の事はこちらで対処するし、蘇生が終わったら五条にでも迎えに来てもらうよ、と二階堂は淡々と言う。
「……いえ、行きます」
「そう?無理してない?」
「…彼女は、久禮田さんを蘇生させた後、どうなるのです?」
七海の気がかりはAの事だった。いくら呪術師側についたところで、立場上は夏油一派であることに変わりはなく。睦月を蘇生した後、彼女はどうなるのか…、気になっていた。
「…、俺と福田君は今回の件で、Aと関与していることが上層部に感づかれたから、しばらくは尋問されるだろう。Aの身柄を呪術高専に引き渡す可能性になることも否定できない」
「……」
「俺達はAを闇堕ちさせないために「人」の世に留まらせるだけ。…七海君には理解しがたいだろうけどね」
そう言って二階堂は、七海に気にも留めずAの元へ向かい駆け出す。遅れて七海もその後を追った。
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作者名:Haru yama | 作成日時:2022年2月5日 19時