君が為、鬼籍に入る３【呪術廻戦】 (ページ14)

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107. 傷だらけの身体ページ14

｢…彼女とは面識が？｣

｢いえ。Aさんが表舞台に戻ってきたのは、2年前だと伺っています｣

｢…2年、前？それまで彼女は何処に…｣

｢その件に関しても、恐らく彼女自身が教えてくれると思いますよ｣

二階堂さんや福田さんも、本人からの聞いたと。彼女なりに隠すつもりは端からないようでしたし…、と言い、七海は眠るAに目を向ける。

いずれにしても東京に戻り、Aが目覚め次第、五条達を交えて11年間の事を問いただすつもりではあるが…、それでも運転手の話からして、自分達の予想を遥かに超える｢何か｣があったのだろうと、七海は思った。

ふと、Aの手を握りしめていると、それまでずっと眉間に皺が寄っていたが、どこか落ち着きを取り戻したようで。

｢(…表舞台に戻ってきたのが2年前だとすると…、ちょうどその頃に夏油さんと再会し、｢孤独｣に生きようとする彼女に寄り添うよう、傍にいたのかもしれない)｣

本人が亡くなった以上、真相は迷宮入りだが、高専時代から夏油がAに対し気が合ったことを知る七海は、何となくそんな感じだろうと思った。
そして東京に着くまでの間、七海はAの手を離すことはなかった。

―東京―

七海の家に到着し、運転手からAの着替えなどを受け取り、七海は彼女を抱きかかえた状態で帰宅する。そして、そのまま自身のベッドに彼女を寝かせた。

流石に少し楽な恰好にさせた方がいいが、女性の服を脱がすのは流石の七海も抵抗がある。しかし、悩んでも仕方がないので意を決して、七海は彼女の服に手を掛けた。

｢…？…、これは―…｣

上着を脱がしたところで露になるのは、痛々しい古傷の数々。とても女性の身体とはかけ離れていて、刃物で切られたような跡だけでなく、抉り取られたような跡や火傷のような跡などが後を絶たなかった。そしてそれは、全体にわたって広がっており、肌を露出している部分以外はすべて傷跡なのではないかと、思わせるくらいだった。

七海はその傷跡を直視することが出来ず、視線を逸らしながらも彼女の着替えを終えた。
その間、彼女は一切目覚めることはなく。二階堂曰く、｢人を蘇生させる、ということはA自身、それなりに代償を払っている。数日間は眠りに着くと思っていい｣と言っていた。

眠る彼女の頭にそっと手を置き、小さく息をついた後、七海は自身の荷物を片付けに寝室を出るのだった。
それからAは約3日間…、眠りにつくのだった。