《ハルチカ》こんな四角関係いやっ！ part３！

ピッコロ紛失事件 13 ページ6

５


わたしは、その六文字の言葉をちゃんと二人の目を見て伝えた。


――泣きながら。


千夏「もうっ、泣かないの！こっちまでもらい泣き、しちゃうじゃないっ」


ハ「Aちゃんの気持ち、聞けてよかったよ。ぼくたちもAちゃんのこと信用してる」


千夏「うんっ！悩みがあったらちゃんと言ってよ？じゃないと、怒るから！」


「ははっ。怒るって…」


ハ「怒るよ。だって、ぼくとチカちゃんに支えてほしい。って言っといて相談してくれなかったらこっちとしても寂しいし」


「ふふっ。分かったよ。必ず、相談する」


千夏「言っとくけど！迷惑とか全然思ってないから！
逆に頼りにされてるみたいで嬉しい」


「うんっ…」


千夏の言葉に涙がまた出てきた。


千夏「ちょっ、なんで泣くのよ！」


「いや、いい友達もったなあって」


千夏「友達っていうか、ここまできたらもう親友でしょ。ねっ！ハルタ」


ハ「うん、一つ補足するとすればぼくとAちゃんは相棒。と、ライバル」


「相棒と、ライバル？」


ハ「そう。一緒に謎解きしてくれる意味では相棒。
でも、成績も謎解きも負けたくないって思ってるからそういう意味ではライバル」



親友と、相棒と、ライバル――


「ははっ。わたしたちほんと、複雑」


ハ「複雑？」


「ううん、こっちの話。ねっ、千夏」


千夏「え？あぁ、そう、だね」



千夏にいきなりふったけど、分かってくれたみたいだ。



相棒であり、ライバルなんて言われたら恋愛感情として好きでいることに戸惑っちゃうじゃない――


でも、わたしはハルタが好き。
この想いは絶対に変わらない。



「じゃあ、ちょっとだけ聴いてもらおうかな」


わたしはケースからピッコロを取り出し、組み立てる。


千夏「え！？A、ここでピッコロ吹いてくれるの？」


「うん、二年くらい吹いてないからね。
ちょっと、音が鳴るかなって。
フルートで慣れちゃったらピッコロ吹く時驚くのよね。全然音が出なくて。
ピッコロの歌口(息を入れるところ)はフルートより大分小さいから、あまり息が入らないの。
でも、コツを掴んだらすぐに鳴るようになる」


千夏「へー、難しいのね」


「うん、フルートよりピッコロの方が長さも短いから息もフルートより要らないんじゃないかって言う人もいるけど断然ピッコロの方が難しいと思う」

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