《ハルチカ》こんな四角関係いやっ！ part３！

エレファンツ・ブレス 32 ページ41

マ「野生の象を扱った本なら僕がまだアメリカにいた頃に読んだことがある」


そう言ってマレンは教えてくれた。




・象は伝染病にかかると群れの八割以上が枕を並べて斃死してしまうことがある。なぜなら象たちは病気なった仲間を「死ぬまで介抱する」のでその全員が伝染してしまう。



・捨て児の仔象を養母となる象が面倒みることがある。



・象は神経質で、テリトリー内に道路ができるといつまでもためらってそれを乗り越えようとしない。動物園内ではネズミ一匹でも警戒する。



・推理作家アガサ・クリスティの『象は忘れない』という作品の題名は、人間ではなかなか正確には思い出せない過去の記憶でも象は決して忘れないということを示しているが、これは本当のことで、個別認識力が非常に高い動物である。



・象は恒温動物なので睡眠中に夢を見る。ただし睡眠は三時間程度といわれている。サラブレッドの馬のように神経質なので、動物園の飼育係でさえ睡眠中の姿を見る機会は滅多にない。





祖父「…若いの。詳しいな」


こもった声がした。
マレンが首を回す。
後藤さんに枕を押し付けられている、お爺さんが出した声だった。


ハ「お爺さんも、象に関する生態や逸話でなにかご存知のことがありますか？」


ハルタが尋ねると、お爺さんは天井に目を向けて答えた。


祖父「物語なら知っているぞ。あれは、ラドヤード・キプリングの小説だったな…」


そしてお爺さんは、ときどき思い出すのに苦労しながら、話してくれた。

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