クロスキューブ 34 ページ13
草「ハルタが徹夜で試行錯誤した方法だよ。
成島さんや、一緒に苦労してきたきみたちのために、そうする必要があったんだ」
ハ「あの、もしかして先生は気づかれているのですか？」
草「大まかにね。例えば穂村さんたちは、今日のある時間以降はキューブに触っていないこととか」
そうだ。お昼休みを過ぎてから、わたしたちはあのキューブをハルタに預けたままだった。
千夏「ねえ、ねえ。どういうことなの、A？」
「事前に白色で上塗りしていたんだよ。六面全部」
千夏は呆気にとられていた。
草「上条くんは剥離を起こすタイミングを知っていたんだ。
いくら正解を提示しても、成島さんを一時間以上待たせるわけにはいかないし、その間に往復ビンタを喰らったり罵られるわけにはいかないからね」
ハ「すみません」
ハルタが眠そうに欠伸をかみ殺している。
草「おかげで最も効果的な演出で正解を提示することが出来た。
あの教室での上条くんの演説も、五日間の穂村さんたちの苦労も、成島さんの心にきちんと伝わったと思う。
あと、金廣さんの成島さんと同じ過去もね」
「ああ．．．」
千夏「A、ごめん」
千夏が急に謝ってきた。
ハ「今まで気づかなくて。
ぼくたちはAちゃんの笑顔の裏を見れていなかった」
わたしは、びっくりした。
「いいの．．．いい、の」
今まで周りに迷惑をかけないよう笑顔を見せてきたけど、悲しいものは悲しくて、それでも泣かなくて．．．
でも、ハルタたちが気づいてくれて今まで溜めていたものが溢れてしまい、涙が出てしまった。止めようと思っても止まらなくて。
千夏「いいよ。思いっきり泣きなさいって」
ハ「ぼくたちが支えてあげるからさ」
わたしは二人の優しさを実感した。
「．．．ありがとう」
・
・
千夏「成島さん、これからどうするのかな」
ハ「彼女が決めることだよ」
ハルタが答える。
今となっては成島さんに吹奏楽部に入ってほしい。
千夏「あのキューブってやっぱり、自分の手で六色塗ることが正解だったの？」
ハ「成島さんの弟が証明してくれたじゃないか」
千夏「そうだ。なんて書き残してあったの？わたし見てなかったんだ」
ハ「九個のブロックに一文字ずつ。単純な祝福の言葉だよ」
吸い込まれるような冬の空を見上げて、ハルタは教えてくれた。
正解だよ お姉ちゃん
その九文字が、彼女に春の訪れを呼び起こすものになると信じた。
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のの - 夜月さん» ありがとうございます！ (2016年4月7日 15時) (
レス) id: dd3ac278ec (このIDを非表示/違反報告)
夜月 - fruitさん» 才能だなんて！そんな！光栄です！毎回、コメントありがとうございます！これからもお願いします！ (2016年3月17日 0時) (レス) id: ca0edcb47b (このIDを非表示/違反報告)
fruit - オリジナル・・・とっても面白いです！ワクワクしてます！すごいですね〜(*´∀｀)才能なんでしょうね〜(*´∀｀)羨ましいです！頑張ってください！ (2016年3月16日 23時) (レス) id: 1c29b9fd37 (このIDを非表示/違反報告)
夜月 - あいさん» オリジナルは面白いかとても不安だったのですが、そう言ってもらえて光栄です！これからもどうぞよろしくお願いいたします！ (2016年3月13日 17時) (レス) id: ca0edcb47b (このIDを非表示/違反報告)
夜月 - ののさん» ありがとうございます！ですが、ゼロからのお話なので更新のペースが遅くなるかもしれません…まことに申し訳ありません…ですが！よろしくお願いします (2016年3月13日 17時) (レス) id: ca0edcb47b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜月 | 作成日時：2016年2月12日 18時
