仕事 ページ12
「息あがってんな。3セット目行けるんか?」
「このセットは存分に休ませてもらうのでいけます」
黒須監督に確認されて静かに答える。今の僕に3セット目に出ないという選択肢はない。ワカと戦うためにも。1セット目はこっちが取れたけど最後の方ワカのスパイクの威力が上がってた。
何本かは乱れたレシーブになった。綺麗にあげられた本数は少ない。3セット目はもっと精度をあげる。
「……Aが知っとる時と白鳥沢はそないに違うんか?」
「僕が白鳥沢から来たって知ってたんですか」
「そら、部員のことやし、全中も観とったしな」
まぁ、そりゃそうだよな。強豪校の監督だし。来年の推薦とかの為にも全中は観てるよね。
あえて言わないでいてくれたのか。なかなか気の使える監督だったみたいだ。なんかすみません。今までついた悪態に心の中で謝罪を入れて中学の時のことを思い出す。
「僕が白鳥沢でプレーしてたのは二年の秋からなんでワカとチームメイトとして戦ったことはないんですけど、兄がワカと仲よかったんで自主練のときとかに高等部の方にお邪魔させてもらってたんです」
「そうか」
「そのときとは違いますね。ワカも他の先輩方も」
誰一人として止まってる人なんていない。ワカだけじゃなくて全員のレベルが上がってる。僕が知ってる何倍も白鳥沢は強い。
「止まっていた僕には追いつけそうもないです」
「弱気な発言やな」
「でも僕はリベロです。あげるのが仕事ですから」
別にワカに追いつく必要はない。他の先輩方や工にも。強いて言えば後で山形さんに強打の上手い上げ方を聞いておこうとは思うけど。
僕の仕事はあげること。
ワカみたいに強打は打てなくてもそれをあげることは出来る。
僕はリベロだからそれで十分だ。
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蓮夜 - 面白かったです。主人公が凄くかっこいいし、兄のことをにぃといってるギャップが良すぎました。お疲れ様でした! (2023年5月14日 23時) (レス) @page48 id: 574d664119 (このIDを非表示/違反報告)
ぽん(プロフ) - 今一番楽しみにしてる小説です(T . T)これからも応援してます〜! (2020年5月2日 11時) (レス) id: 008e34b9a1 (このIDを非表示/違反報告)
ogofumi(プロフ) - 続編おめでとうございます!めっちゃ好きです。これからも応援してます。更新頑張ってください! (2020年4月30日 21時) (レス) id: d6342d80f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りろ | 作成日時:2020年4月30日 21時