Honey Citrus ３

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「よし、これ保存して終わり…っと。」




「う、嘘…終わった……」








まだ21時なんですけど…





隣で最後の入力データ保存してくれた藤ヶ谷さんと


自分の時計を交互に見比べる。







正直、今日中に終わんないかも…なんて不安に思ってたのに！








「ホントは２時間以内に終わらせたかったんだけどね、」




「に、２時間…ですか！？」







藤ヶ谷さんって


どこまで高スペックなの…！？








山のような量の仕事を手早く済ませた藤ヶ谷さんに驚くと共に


手伝わせちゃった罪悪感で居た堪れなくなる…









…それに、


このミスは北山さんのことで悩んでた私の落ち度で。









「……っ//」






危ない危ない…





さっきの藤ヶ谷さんの冗談思い出すと、



からかわれただけ、って分かってるのに反応しそうになる…！









「あの…、ホントにすみませんでした！」



「もう謝んなくていいよ？」







改めて頭を下げたら、


Aもお疲れ、って。






ここまでの激務をまるで感じさせない藤ヶ谷さんに


もはや尊敬の念しか無くて。








「じゃあ片付けて帰ろっか、」




「はい…、」







藤ヶ谷さんと一緒に

デスク周りの片付けを始める。









…藤ヶ谷さんの営業成績が良いのって


全部藤ヶ谷さん自身の頑張りのおかげだよね？







隣にいるその背中が

いつもより更に大きくて高い気がして。








いつも報告書までしっかり確認してくれるし、




よく資料室へ行ってて

他の営業さんが担当する企業まで把握してるのは、


私も気付いてたんだよね…








いつも爽やかな雰囲気のその横顔に


どれだけの努力が積み重なってるのかな、って思ったら…









「…私、藤ヶ谷さんのこと

　ちゃんとサポート出来てるんでしょうか……」





「ん？どうしたの、急に」







不意にぽつりと零れた私の言葉に


手を止めてこちらを向く藤ヶ谷さん。







「あっ…、えっと……っ」







……わ。




私何言い出してるんだろ……！








仕事手伝って貰った分際で

何を訳の分からないことを……







突然口走った私を見つめる藤ヶ谷さんに


何も言えないまま焦ってたら









「俺は、いつもAに沢山助けられてるよ？」




「えっ……」








そう言って


帰り支度が整った所でイスに座り直した藤ヶ谷さん。






つられて、私もそっと腰を下ろす。

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