Honey Citrus ３

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「俺別に泊まってってもいーんだけど、」




「な、何言ってるんですか……っ！///

　終電まだ間に合うんですから、帰ってください…！」








乾いた服に着替えて、


ここに到着した時と同じ格好になった北山さんを

玄関まで何とか誘導する。








泊まる…！？





あんな事しといてホントに何言ってるの北山さん…！///







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あの時、乾燥がちょうど終わって

洗面所へ駆け込んでった私。







乾いた北山さんの衣服から甘い香りがしてきて


思わずキスされた時の熱を思い出して。








扉の前で何度も深呼吸して


まるで沸騰しそうだった頭を何とか切り替えようとしたのに。







リビングへ戻ったら


北山さん普通にまたテレビ見てて。







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「…傘、これ持ってって下さい。」




「ん、さんきゅな。」







差し出した私の傘を

目も合わせずに受け取る。









…ねぇ北山さん。






今日の出来事、


全部無かったことにすればいいんですか？








何も言わず靴を履いてる背中に


思わずそう声を掛けたくなる。








…今日ずっと貴方のこと考えてたのに。







１日の終わり、


北山さんのせいでこんな虚しい気持ちになるなんて。









少し目頭が熱くなった気がしたら








「…来週また再チャレンジすっか、」



「……はい？」







身支度を整えた北山さんが立ち上がって


こちらに向き合って急にそう言い出した。







さ、再…なに……？







訳が分からずポカン…ってしてたら









「お前の好きな天丼食い行くに決まってんだろ、」




「えっ…」





「拒否権なしなー。俺もミックスにすっからさ、」







私の顔覗き込んで、フフンって。






なぜか得意気になって、


笑顔でそう言うの。









「じゃーな、」




「お、お気を付けて……っ、」









バタン、ってドアが閉まって



一気に静かになる玄関。









「……っ/////」






そのまま、スルスルと崩れ落ちて


その場で頭を抱えたまま座り込む。









……藤ヶ谷さん、



私、全然北山さんと話せませんでした。









話せなかったし、



キスの理由も何も聞けなかったけど、





……１つだけ確信してしまいました。









私は多分、




いつもの営業スマイルとは違う、





どこか少年のような北山さんのあの笑顔が









「好き……っ、」








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