検索窓
今日:6 hit、昨日:6 hit、合計:207,253 hit

98 ページ1

.







え、



な、なんで……?







だって今日、藤ヶ谷さんは営業先から直帰のはずで…







入り口に立ってる背の高いその人が


ホントに藤ヶ谷さんなのか、すぐに理解できなくて。








「今日確か北山と約束してたよね?」







状況が理解出来ずにいる私のところへ


慌てて駆け寄ってきた藤ヶ谷さん。







しゃがんで私に目線合わせて、


どこか心配そうにそう言ってきて。








「ふ、藤ヶ谷さんこそ……っ、

 どうして戻ってきたんですか……?」






起き上がってすぐの、


なぜか声が震えてる私に







「自分でもビックリしたんだけど、

 デスクに家の鍵忘れちゃってさ…」







そう恥ずかしそうに答えたのは


私の知ってる、いつもの少し天然な藤ヶ谷さんで。









「ふふ、相変わらずおっちょこちょいなトコありますね……っ、」







安心感で思わず笑みが零れたら、



藤ヶ谷さんもつられて笑顔に……







なってくれなくて。









心配そうに私を見つめたまま




私の方に伸びてきた藤ヶ谷さんの左手が


そっと頬を撫でて、








「無理して笑わなくていいよ、」






なぜか藤ヶ谷さんまで辛そうな顔して

そっとそう言ったの。






…無理してる?






私が?





…どうして?







不安と戸惑いで、頭の中ぐちゃぐちゃになってたら








「心配だから、何があったか聞いていい?」






隣のイスを引いて座りながら、




落ち着いたトーンで


でもしっかりとした声で藤ヶ谷さんが宥める。







イスとイスで向かい合うようになった藤ヶ谷さんの目は


真っ直ぐ私のこと見つめてて。









……お見通しなのかな。







ここに藤ヶ谷さんが異動してきてから

一緒に過ごした時間は



思ってたより濃かったみたいで。









「…北山さん、今日立花さんと一緒に会食に行くことになっちゃって……っ、」








精神的にこれ以上どうしようも無かった私は


少しずつ言葉を口に出しました。







「自分で『行って下さい』って言ったくせに

 いざ一人になったらなんか…北山さんのことばっか考えてて……っ、」





「ホントは行って欲しくなかった?」








察してくれた藤ヶ谷さんの言葉に


力無くコク、って頷いた。







「それ、北山じゃないとダメだったのかな」



「…分かりません、」









だって、


北山さんを選んだのは





立花さんだったから。







.

99→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (410 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
924人がお気に入り
設定タグ:キスマイ , 北山宏光 , 藤ヶ谷太輔   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Hana.(プロフ) - ぴーちさん» ぴーちさん初めまして!1番に読んで頂いてるなんて、書いてる側として嬉しすぎます(><) どっちも派、全然アリですよ!(笑)主人公ちゃんと一緒に、ここからぜひぜひ本格的にフラフラしちゃって下さい…笑 またよろしければ、ご感想お聞かせくださいね〜♪^^* (2020年7月3日 14時) (レス) id: 0fb7ae82d8 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーち(プロフ) - 初めまして!コメント失礼します!もうめちゃくちゃに面白くて更新されていたら1番に読んじゃいます笑 すごく突然ですが私は藤ヶ谷さんと北山さんのどっちも派で心臓が持ちません…。 (2020年7月3日 0時) (レス) id: a35dab13d0 (このIDを非表示/違反報告)
Hana.(プロフ) - りーちゃんさん» りーちゃんさん、初コメありがとうございます!結末まで読者の皆様にドキドキハラハラ、そしてキュンキュンして頂ければと思っております^^* まだまだお話続いていきますので、今後とも見守って頂けると嬉しいです☆ ぜひまたコメントお待ちしております\(^o^)/ (2020年7月2日 23時) (レス) id: 0fb7ae82d8 (このIDを非表示/違反報告)
Hana.(プロフ) - njskpercussionさん» お久しぶりです!引き続きご愛読頂きありがとうございます☆だいぶ波乱の展開に入ってきているので、書いてて私もハラハラしております…^^; 自分に当てはめるのがこちらのサイトの醍醐味だと思います!(笑) いつも温かいお言葉ありがとうございます(><)頑張ります! (2020年7月2日 23時) (レス) id: 0fb7ae82d8 (このIDを非表示/違反報告)
りーちゃん(プロフ) - 初めまして!いつも楽しく読ませて頂いてます☆ますますどうなっていくのか気になるお話でハラハラドキドキキュンキュンさせてもらってます。更新楽しみにしています。 (2020年7月2日 22時) (レス) id: 21de289748 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Hana. | 作成日時:2020年6月13日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。