Honey Citrus

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「佐藤、昨日頼んだ書類もうできてる？」


「はい！

　えっと…あとここに北山さんのハンコ押して貰えたら終わりです！」


「ん、さんきゅ」




15分前になんとか印刷し終わった資料を渡して、

上から順に確認していくのを静かに見守る。




「…早かったな、

　じゃあこれ貰ってくわ」


「ありがとうございま……っ、」



私がそう言い終える前に、

じゃな〜って廊下へ向かう背中を見て




「はぁ〜〜〜……。」



何とか間に合った、、







「お、つ、か、れ！！！」



「わ！ビックリした…」



「昨日の帰りに声掛けた時は死にそうな顔してたのに、

　結局仕上げてんじゃん！さっすが〜！」



「もう〜ただでさえ気張ってたんだから驚かさないでよ〜！」





大きくため息をついていた所へ

いきなり同僚に背中を叩かれる。




さっすが〜！じゃないよ……



「普通前日にいきなり『明日までに作ってこい』とか言う！？」


「まぁまぁ、Aにそれだけ期待してるってことだよ！」




結衣はいつもそう言うんだから…


こっちの苦労知ってるのに！




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ここは大手システム会社の東京本社、営業部。


私は一般職として事務職を担当しています。


効率化が目的で、

いわゆる『営業』に回る総合職の人とペアを組んで

仕事をしてるんだけど……



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「うちのエースについてけるのホントに凄いよねー」


「私は別にやりたくて北山さんの担当事務やってる訳じゃ…」






社員食堂で今日のランチを食べながら、他愛のない会話をするのがいつもの私たち。




私は、さっきの北山さんの担当を2年くらいやってて。



うちの社内きっての営業成績を誇る北山さんの担当をするのは、

仕事の内容も量も尋常じゃない。



毎日必死についてこうとしてるけど……




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『さ〜と〜う〜〜……』


『…はい、』


『お前今日残れ、これ今日中にやり直しな』


『……はい。(涙)』




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「北山さん怒ると怖いんだもん〜〜！鬼だよ鬼！」


「イケメンは怒っても鬼にはなりません」


「なーるーの！結衣は怒られたこと無いからそうやって言えるの！！」




先月やらかした時のことを思い出して思わず震えちゃう。


あの時はもう無言の圧が凄かった……





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