ダーク・マリッジ【千葉翔也】 ましょはさまリク ※ヤンデレ注意 ページ11
可愛らしいレースがあしらわれた真っ白な布が、私の視界に影を落とす。衣擦れの音とともに広がったそれは、一瞬にして暗闇と化した。
『…千葉くん。
「だめだよ。だってそれ外したら、Aさん逃げるでしょ?」
『逃げないよ』
「この間逃げたくせに。まぁいいよ、ちょっと魔が差しちゃっただけだもんな?」
『……』
「…っし、じゃあ始めよっか」
『え、?』
何を、と聞く暇もなく、彼はまた口を開く。
「シンロウ、私はAAを妻とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、妻を愛し、敬い、慰め合い、ともに助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓います」
『…しん、ろう、』
シンロウ?心労、身廊、辛労、………新郎。
どこかで聞いたことのあるその文言は、結婚式で神父が述べるものだ。ということは、次は…
「新婦、あなたは千葉翔也を夫とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、夫を愛し、敬い、慰め合い、ともに助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
『……』
「……はいって言えよ。誓うって」
『っ!』
耳元で囁かれて、恐怖を伴った悪寒がゾクリと背中を駆けた。
『………ゃ、』
「やじゃないだろ。ほら」
軽く顎を掴まれて、視界が遮られているせいか低い声がより鮮明に聞こえる。見えていないのに、こちらを鋭く見つめる彼の双眸が脳裏に浮かんだ。
『………はい』
「ん、いい子だね」
渋々首を縦に振ると、今度は薬指にひやりとした物があてがわれる。夫婦の象徴とも言えるそれを私の指に嵌めた彼は、続いて私の目を覆っていた布を剥いだ。
『……』
あぁ、と絶望にも似た感情を抱えて自分の指を見つめていると、不意に顔を覗き込んだ千葉くんが言った。
「どうしたの、そんな顔して」
『……別に……』
「そんな抱え込むなって。悩みごとがあるなら隠しちゃだめだろ?だって俺たちもう、夫婦なんだから…」
その笑みに、私は悟った。優しげに微笑む目の前の悪魔に対抗する術はどこにもありはしないのだと。狂気にも見える恍惚を瞳に浮かべた彼に思考まで占拠されてしまわないことを願いながら、ゆっくりと瞼を伏せて首を横に振った。
◇ ◇
遅くなってごめんなさい…。リクエストありがとうございました!
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きゃねこ@FGO垢(プロフ) - 古川慎さんとお風呂に入る話が読みたいです! (11月19日 12時) (レス) id: b9dbee0f0f (このIDを非表示/違反報告)
ハルカナギサ(プロフ) - A.さん» 遅くなってごめんなさい…!!リクエストありがとうございます。児玉卓也さん、初書きなのでがんばります…! (7月13日 1時) (レス) id: e1023481e7 (このIDを非表示/違反報告)
ハルカナギサ(プロフ) - 瑠夏さん» ずうっと音信不通でごめんなさい😭いつもありがとうございます!!すぐ上げます! (7月13日 1時) (レス) id: e1023481e7 (このIDを非表示/違反報告)
A.(プロフ) - 読ませていただきました〜!!!すごい良かったです!またリクエストお願いします……!児玉卓也さんで嫉妬する児玉さんのお話を読ませていただきたいです!いつでも待ってますのでよろしくお願いします! (2023年4月17日 21時) (レス) @page1 id: e97af92e53 (このIDを非表示/違反報告)
瑠夏 - お久しぶりです、読ませていただきました。とっても良かったです。また久しぶりに古川さんのリクエストお願いします、恋人同士の同い年でドラマに夢中な彼女に嫉妬しちゃうお話が読みたいです (2023年1月7日 12時) (レス) id: b9e0d52f34 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハルカナギサ | 作成日時:2021年8月20日 15時