【 138 】資格 ページ40
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梯子を登り切ると、こちらに背を向けて座っている大野さんが目に入る。
その、隣に行くのを躊躇してしまう足。
一歩だけ、踏み出してまた止まると
智「…こっち、おいで？」
振り返らず、隣をポンポンと優しく叩く大野さん
「…はい」
ゆっくり、でもスムーズに足を進めて大野さんの隣に座ると初めて出会った時の様にフワッと優しく微笑まれる
智「久しぶりの家、どう？」
「…やっぱり安心します」
智「そっか」
「はい」
智「………Aちゃん」
「はい？」
智「俺の事、なんて聞いた？」
「っ、……それは、その…」
智「全部聞いちゃった？」
「………………たぶ、ん。…はい。」
智「そっか。……そっ…かぁ……」
ふぅ……と、深くため息をつきながら後ろに手をついて上を見上げる
少し目を瞑ってからまた元の姿勢に戻ると、
智「…前にさ、言ったでしょ？『俺は汚い』って」
「はい」
智「あの時にね？私を守る為にずっとそばに居てって。凄い嬉しかった」
「……。」
智「嬉しかった…けど、あの事がAちゃんに知られた時の事を思うと苦しくて仕方なかった」
「大野さん…」
智「本当にごめんなさい。
…謝っても絶対に許させる事じゃないのは分かってる。だからこんな謝罪なんて、ただの自己満足でしかないけれど…ごめん。」
そう、凄く辛そうに…今にも泣きそうに顔を歪めながら頭を下げる大野さん。
智「俺は…今まであんな、Aちゃんを守るなんて事言ってたけど。…でも、本当はAちゃんのそばにすらいる資格のない人間だから」
「そんな資格なんて、」
智「だからここを出て行くよ」
「………えっ？」
智「Aちゃんのそばで、笑って過ごしてたはずの家族を奪ってしまった俺が、いつまでもAちゃんの隣で幸せに…笑って過ごすなんてやっぱり出来ないから」
「まって…待って！」
智「っ？」
「…何を…勝手に決めているんですか？私のそばにいる資格？そんなの誰にも必要ないですよ！
私が！これからも大野さんや櫻井さん達六龍のみんなと一緒に居たいんです！
……笑って居たいんです！！」
智「Aちゃん、落ち着いて…」
「落ち着いてます、至って冷静です！…それに、あの約束はどうなるんですか！あの誓いは！？
…私に、3回もキスした癖に！」
智「っ、それは…」
「私が、…私がっ、…大野さんをどう想っているかは、かんっ…がえてくれないんですか！」
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作者名：ハルvolleyball | 作成日時：2018年6月6日 13時
