六龍 Ⅲ 【ars】 (ページ13)

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【 111 】約束ページ13

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「他の六龍メンバーと約束しているんです。生田さんに私が何をしているのか、これから何をするのかを伝えてもらうって。
その…だから、外してほしくないんです」

斗「……。」

黒「…そうか。」

「……お願いします。」

黒「…………はぁ、分かった。ただし、何も口出しするな。分かったな？」

斗「はい」

黒「…単刀直入に言うとだな…孫の、身代わりになってほしい」

「…お孫さんの身代わり？」

黒「今朝、孫を誘拐したと犯人側から連絡があった」

斗/貴「「えっ？！」」

斗「桃華さんがですか？」

黒「…あぁ」

「犯人の要求は？」

黒「まず警察に言えば孫の命はない。金は要求するつもりはない。孫を返す条件はただ一つ」

「…。」

黒「…AAを差し出せ」

斗「なっ…！」

「私、ですか？どうして…？」

黒「わからん。今は…7時半か。4時間半後の12時に指定された場所へ私と君の2人で行き、私の孫と交換。…という事になっている」

「…………分かりました」

斗「っ！分かりましたって…相手は何者かも分からない、何されるか知れたもんじゃないんですよ？！そんな、簡単に…」

黒「生田、口を出すなと言っただろう」

斗「ですがっ…死んでしまう可能性だって…」

「黒田さんのお孫さんが死んでしまうより30年も生きてる私が身代わりになる方がいいでしょう。
六龍は私がいなくても十分優秀な方達が揃ってますし。それに……私で助けられる命があるなら、1人でも多く助けたいんです」

斗「……っ、ビーフ、カレーは？」

「っ、」

斗「約束したじゃないですか、一緒に行くって！」

「行きます。ちゃんと、帰りますから」

斗「そんなの分からないじゃないですかっ！！」

「生田さん……」

いつもおちゃらけて、

どこか適当に生きているようなこの人が…

私なんかの為に涙すら流してくれるんだ。

「分からないですが、どんな形であれちゃんと戻ります。」

斗「生きてなきゃ困ります」

「あははっ、そうですね」

斗「そうですねって…」

「……黒田さん」

黒「…ん？」

「相手は、私の家族を殺した人たちですか？」

斗「え…？」

黒「それは…分からない。が、その可能性もあるだろう」

「そうですか…。
なら、なおさら行きたいですね。行かせて下さい」

黒「……ありがとう。本当に、すまない」

「いえ。
……あ、それと生田さん」

斗「はい？」

「みんなには、明日の朝に伝えてください」

斗「…分かりました」