再会 �� ページ9
「私達は先に行く。積もる話もあるだろう。あとからおいで。」
わたし達を簡単に引き合わせると、輝哉様とあまね様はそう言い残して行かれた。
しばし沈黙が流れた。
わたしはそっと両手をついた。
『ご無沙汰しております。柱に…なられたのですね。あの時は助けて頂き、有難うございました。』
自分の声が、震えているのがわかる。
思いがけない再会にまだ心の準備ができていない。
彼は果たして、わたしを覚えているのか−…。
しばらくすると彼の気配が近づいてきて、わたしの前まで来た。
「……顔、上げてくれねぇかァ。」
恐る恐る顔を上げると、しゃがみこんだ彼の優しい目があった。
そのまま彼に頭をぽんぽん、と軽く撫でられる。
「匡近によく似てる。綺麗になったな。」
『あ…ありがとう…ございますッ…。』
大切な人のことを、自分以外の誰かが覚えていてくれたことが嬉しくて。
思わず涙がこぼれた。
「口布、取ってもいいかァ？」
気遣うように聞かれ、『…はい。』と素直に口布を外した。
普段は化粧で誤魔化しているが、今日は隠としての正装のため素顔のままだ。
ほぼ初対面の男性の前に晒すのが少し気恥ずかしくて、うつむいた。
「…やっぱり傷、残っちまったな。」
そっと頬の傷を撫でられる。
想像していたよりもずっと優しい声に、胸の奥がきゅうっとなった。
「…守れなくてすまなかった。匡近のこと。」
わたしの頬に手を当てたまま、彼は寂しそうにつぶやいた。
『そ、んなことない…ッ』
謝らないでください。
兄を覚えていてくれてありがとう。
この気持ち、誰にも話せなくてずっとずっと辛かった。
本当は生きていたくなんかなかった。
1人で寂しかった。誰かに頼りたかった。
気持ちがぐちゃぐちゃに混ざり合って言葉にならない。
気づくとわたしは、目の前の広い胸にすがって号泣していた。
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まるこ(プロフ) - 蝶々。さん» ありがとうございます。 嬉しいです！ もう少しだけ続きますので、宜しければ見届けてやってください。 (2020年6月13日 16時) (
レス) id: d44de4af2e (このIDを非表示/違反報告)
蝶々。 - .とても素敵な作品でした...。長男’ｓ…尊。次回作あったら見に行きますぅぅ！（泣） (2020年6月13日 16時) (レス) id: 99cfbd2b16 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まるこ | 作成日時：2020年5月25日 23時
