未来への不安 ページ38
" 体温40度以上"
"心拍数200以上"
激しい怒りと同時にその限界を超えると身体に痣が出現し、爆発的な力を発揮することができる…らしい。
筋力は増強され、技の能力は何倍にもなる。
けれどわたし達は人間だ。
強い力を手にすることには、必ず代償が伴う。
”無敵状態になれるってことですか?”
" まァな。ただそれは、寿命の前借りにすぎねェ。痣が出現した者は25を迎えるまでに……"
無惨が尻尾を見せ始めた今、戦いは今まで以上に苛烈になっていくだろう。
いつだったか、実弥さんの過去を少しだけ聞いたことがある。
幼い頃の凄惨な記憶。鬼となった最愛の母を、その手で殺めた過去。
鬼への憎悪が人一倍強い彼。
加えて対鬼の戦闘経験豊かで、身体能力にも恵まれている。
『きっといつか、痣が出るよね…。』
隣に眠る彼を見つめる。
その傷だらけの肩に、そっと触れる。そのまま肩から指先まで、なぞっていく。
大きな掌に自分の指を絡めた。
『…温かい。』
あと何回、この逞しい腕で抱きしめてもらえるのだろう。
わたしを映す優しい瞳、警戒を解いたその無防備な寝顔を、あと何回見ることができるだろうか。
なにより彼を失った未来を、わたしは生きていくことができるの−…?
『ッ…さ、ねみさん…。』
涙が溢れてくる。
無駄だとわかっていても。
今、この瞬間が永遠に続けば良いのに、と願ってしまう。
もし、鬼がいなかったら。
もし、命の危険のない世界で出会えていたら。
考えても仕方のない希望が、願いが、湧き出ては消えていく。
お願いです。
わたしを置いていかないで。
124人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まるこ(プロフ) - 蝶々。さん» ありがとうございます。 嬉しいです! もう少しだけ続きますので、宜しければ見届けてやってください。 (2020年6月13日 16時) (レス) id: d44de4af2e (このIDを非表示/違反報告)
蝶々。 - .とても素敵な作品でした...。長男’s…尊。次回作あったら見に行きますぅぅ!(泣) (2020年6月13日 16時) (レス) id: 99cfbd2b16 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まるこ | 作成日時:2020年5月25日 23時