俺を選べ ページ25
炭治郎くん達が去り、屋敷に静けさが戻った。
「………。」
『…………。』
あんなに激しく怒ったところ初めて見た。
善逸くんの話、あながち嘘じゃないのかも。
わたし達はしばし、無言で向き合う。
先に視線を逸らしたのは不死川さんだった。
「…A。」
『………はい。』
「…おかしなヤツを断りなく入れるな。お前に何かあったらどうすんだァ。」
『…すみません。』
俯いていて表情は見えないけれど。
先ほどの怒号が嘘のように、その声は穏やかだ。
「…A、俺のことが、怖ぇかァ？」
それって先刻のこと？
…気にしているのかな。
『いえ。勝手をしたのはわたしですから。』
そう言うとこちらを向いた。
その表情は、わたしのよく知る優しい彼だった。
心なしか…耳が紅い…？
不死川さんはそのままゆっくり近づいてきて、ベッド脇に腰かけた。
わたしの顔を見ると優しかった表情が一転し、顔をしかめた。
「…簡単に気ィ許してんじゃねぇ。」
そしてわたしの耳から何かを抜いて床に捨てた。
あれはハナミズキの花だ。
もしかしてさっき炭治郎くんに？
「A。」
『…はい。』
「まどろっこしいのは性に合わねェ。聞け。」
頬に手を当てられる。
炭治郎くんのソレとは違う、ごつごつとした大きな掌。
後悔も悲しみも悔しさもすべて呑み込んできたのであろう、その傷だらけの手。
あぁ、わたしこの手が好き。
思わずすり寄る。
「A、俺を選べ。」
真剣で、ほんの少し不安が混ざる彼の表情を見て。
誤魔化してはいけない、と直感で思った。
背筋を伸ばして顔を上げる。
『……わたしは』
あなたと再会できた時、嬉しかった。
『不死川さんのことが』
再会できた時、ほとんど初対面だったのに。
近寄りがたい外見とは裏腹に、温かくて優しくて、心から安心できた。
そんな人は初めてだった。
『大好きです。』
許されるなら、あなたのそばに居たいです。
言い終わった瞬間その傷だらけの腕で、力強く抱きしめられていた。
※【ハナミズキ】私の想いを受けてください
・作者より� 僻瑤个靴討盥修い泙擦鵝泡�←鬼を連れた少年〜挑発〜
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まるこ(プロフ) - 蝶々。さん» ありがとうございます。 嬉しいです！ もう少しだけ続きますので、宜しければ見届けてやってください。 (2020年6月13日 16時) (
レス) id: d44de4af2e (このIDを非表示/違反報告)
蝶々。 - .とても素敵な作品でした...。長男’ｓ…尊。次回作あったら見に行きますぅぅ！（泣） (2020年6月13日 16時) (レス) id: 99cfbd2b16 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まるこ | 作成日時：2020年5月25日 23時
