鬼を連れた少年〜挑発〜 ページ24
『不死川さんはすごく優しいよ。』
確かに見かけは怖いけど、わたしには優しいイメージしかない。
「へぇー…あの風柱がねぇ。優しい顔なんて全然想像できないけど。」
善逸くんは寝転んで3つ目のおはぎに手を伸ばした。
その時、入口の方でカタッと音がした。
視線を向けると、あ…。
『あの、善逸くん…』
「あの人、すぐに腕切ったり刀振り回したりする異常者じゃん。よく柱になれたよなー。Aさんも早く逃げた方がいいよ。」
『善逸くんうしろ…』
「てめぇ……誰が異常者だァ?」
入口で額に青筋を立てて、ぷるぷるしている不死川さんがいた。
「勝手に入ってなにしてんだァ。お望み通り叩っ切ってやる!!!」
「ぎいやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
不死川さんは、飛び起きた善逸くんを追いかけて行ってしまった。
『……行っちゃったね。』
「まぁ今のは善逸が悪いな。」
冷静な炭治郎くん。
「そういえばAさん、ケガはもう大丈夫なんですか?」
炭治郎くんの心配そうな顔。
『うん、もう大丈夫。』
すると炭治郎くんはわたしの方に身を乗り出して、鼻を動かした。
「…この間会った時より、匂いが和らいでる。」
『え、匂い?』
なんだろ、く、くさいのかな?
「俺、匂いで感情が読み取れるって言ったでしょ。Aさん、前よりも悲しい匂いが薄くなってる。」
『そうなんだ…。』
自分ではわからないけど、もしそうだとしたら。不死川さんのおかげかもしれない。
「……それが俺じゃないっていうのは残念だけど。」
『え?なぁに?』
「なんでもないさ。Aさん、ちょっと耳貸して?」
『?』
炭治郎くんの方に身を寄せると、唐突に抱きしめられた。
『た、炭治郎くん?』
驚いて身を引こうとするが、思いがけなく強い力で振りほどけない。
「Aさん…俺…」
囁きとともに、何かがわたしの耳に触れた。
耳からゆっくり頬に掌が移動する。
炭治郎くんの赤みがかった茶色の瞳が、まっすぐこちらを見据えた。
その時、「たんじろー!!!!!」「待ちやがれ我妻ァ!!!!!!」
悲鳴、怒号のあと、バタバタッと足音が響く。
バァンッ!!!!! という大きな音共に涙と鼻水まみれの善逸くんが飛び込んできた。
それを追いかけてきた不死川さんが、わたし達を見てピタリと停止した。
「てめぇ竈門ォ…殺されてぇらしいなァ…。」
「Aさん、じゃあまた。」
炭治郎くんが不死川さんの横をすり抜けて出ていった。
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まるこ(プロフ) - 蝶々。さん» ありがとうございます。 嬉しいです! もう少しだけ続きますので、宜しければ見届けてやってください。 (2020年6月13日 16時) (レス) id: d44de4af2e (このIDを非表示/違反報告)
蝶々。 - .とても素敵な作品でした...。長男’s…尊。次回作あったら見に行きますぅぅ!(泣) (2020年6月13日 16時) (レス) id: 99cfbd2b16 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まるこ | 作成日時:2020年5月25日 23時