合同任務 �� ページ18
2人とも同時に声がした方角を確認する。
「墓地の方だな。」
『行きましょう！！』
駆けだそうとした瞬間、ふらっとよろめき手をついた。
『っ！』手を見ると血が滲んでいる。わずかだが切ったらしい。
「走れるか？」
『大丈夫です！』
何か言いたげな不死川さんにこれ以上心配をかけぬよう、力いっぱい頷いてみせる。
何も言わずとも、わたしに合わせて走ってくれる不死川さん。
この人は本当に優しい人なんだな…と緊急事態なのに思ってしまう。
「きゃぁ！！！！ 来ないで！！」
駆け付けると、女性が血を流して倒れていた。そばには桶や花が散らばっている。
恐らく墓参りに来て襲われたんだろう。
『大丈夫ですか？』
わたしは女性を助け起こした。
しかし鬼は女性には目もくれず、わたしの手元を凝視している。
「お前……稀血だなぁ？？ 若い女の稀血なんて滅多にお目にかかれない上物だぜぇ！！」
鬼は下品に笑い、わたしの方に距離を詰める。
そっちがその気なら。
『不死川さん、わたしが相手をしますから。あの人をお願いします。』
「おいA」
わたしは刃を抜き、ダッと鬼に向かってかけだした。
『”時の呼吸 参の型 瞬刻滅殺”！！』
「な、なんだ！？体が動かぬ！！」
怒りを含んだ鬼の声。
呼吸で時を操り、鬼の周りだけ時間を止めたのだ。
そのまま首を切ろうと刃を振り上げた、その時。もう一匹の鬼を見つけた。鬼が踏み荒らしているその場所は”粂野家”と彫られた大切な…。
『ッ！兄さんに触るな！！！』
注意がそれた瞬間、呼吸が乱れた。
「A！！！」
焦った不死川さんの声。
「この女！！」
いけない、と踏ん張る一瞬の隙をついて鬼が腕を振り下ろした。
急所はかわしたが、右肩に鬼の爪が食い込む。傷口から血が滴った。
『うッ…』
痛みで顔が歪む。
鬼が嬉しそうに舌なめずりした。
傷口にさらにぐいぐいと爪を立ててくる。傷口からさらに血が落ち、鬼は歓喜の叫びをあげた。
『うぅッ…』
情けない。これくらいの傷がなんだ。
「”風の呼吸 壱の型 塵旋風・削”！！」
「A！！ 伏せろ！！」
とっさにしゃがんだ。それと同時に鬼の「ギャァァァァァァ！！」という断末魔の悲鳴が響いた。
「A！！ 大丈夫か。」
『大丈夫……です…。』
「ッおい！」
駆け寄ってきた不死川さんの顔が徐々に霞んできて、わたしはそのまま意識を手放した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 124人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まるこ(プロフ) - 蝶々。さん» ありがとうございます。 嬉しいです！ もう少しだけ続きますので、宜しければ見届けてやってください。 (2020年6月13日 16時) (
レス) id: d44de4af2e (このIDを非表示/違反報告)
蝶々。 - .とても素敵な作品でした...。長男’ｓ…尊。次回作あったら見に行きますぅぅ！（泣） (2020年6月13日 16時) (レス) id: 99cfbd2b16 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まるこ | 作成日時：2020年5月25日 23時
