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Fuma









「お待たせ。」

「うん。待った。5分だけ。」

「ごめん。」

「ふふ、いいよ。怒ってないし。」









もう年末と呼ばれる今日は、Aちゃんとやり直しのクリスマス。









「まずどこへ行くの?」

「んー、決めてない。その方が楽しいと思って。」

「うん。賛成。」









会ってすぐ自然と手を繋いで、何にも無いかのようにAちゃんが俺の隣を歩く。

あぁ、もう、これだけで幸せすぎるくらいだ。









「そういや、ウチにはいつ帰るの?」

「今日荷物をまとめて出てきたから、帰りにでも寄ってから風磨の家に行こうとしてた。」

「ふーん。なるほど。」

「だから今日、風磨は私の両親に会うんだよ。」









そう言われて、胸がドクンと音を立てた。









「なに?緊張してるの?」

「そりゃ、するでしょ。」









急にぎこちなくなった俺を、Aちゃんは笑った。









「んふっ、お母さんは楽しみにしてるって言ってたよ。」

「そうなの?」

「うん。どんな人か聞かれたけど、会ってからのお楽しみ。って言って出てきた。」

「うわ、ハードル上がってる気がする。」

「いいじゃん。それくらいに風磨はカッコいいよ。」









出さないけれど、不覚にも照れてしまった。

そんな俺に気づいているのかいないのか、Aちゃんは俺の手を引いてある店の前に来た。









「かわいい...」









Aちゃんが眺めるショーウィンドウの中には、バラのモチーフが付いた、キラキラと輝く、指輪だった。

揃いでネックレスやピアスもあるみたいで、Aちゃんにとっても似合いそう。









「これ欲しいの?」

「ううん。」

「あれ?」

「いいの。」









"欲しい" と言われれば、他に勿論プレゼントは用意しているけれど、これも追加で買おうと思ったのに。

頭にハテナを浮かべる俺に、Aちゃんは言った。









「風磨が居るだけで最高のプレゼントだから。風磨が居ればサンタさんなんていらない。」









もう、ほんと。手に負えない。

どうしてこうも俺のツボを抑えてくるかなぁ。









何も言えない俺の手に、Aちゃんの熱が少し強く感じたから、俺も答えるように強く手を握った。









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作者名:はる | 作成日時:2018年3月3日 19時

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