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Kento
「でもさ、それも立派な恋愛な訳じゃん？正直仕方なくない？好きになった相手が男だからとか、そんなのでグチグチ言われるのは違うと思う。だって仕方ないじゃん。好きになる人なんて選べないんだし。」
レイカは苦笑いをしたまま、意味は無いはずなのに、パックに刺さったストローをくるくると回していた。
そのぎこちない動きが、どうも自分とマッチしてしまって。
「好きになる人、選べたらいいのにね。」
「そうだな...まぁ、俺は後悔してないよ。好きになったのが風磨で良かった。」
「でもさ、辛くない？相手は風磨だよ？あれこそ毎日連れてる女違うし。そういうのって漫画の世界だけだと思ってたわ。」
それは俺も思ったよ。
最初はただ青春時代に読んでた漫画のせいなんだろうなぁって。大学生になれば変わるだろうなぁって。
「まぁ、仕方ないよ。俺じゃ風磨の 性 欲 処 理 は出来ない。」
「ぶっ、そこなの？(笑)」
少しレイカと笑い合って、場が和んだ。
「でもさ、どうなの？正直なれることなら風磨の恋人になりたいんじゃない？」
「いや、いいんだ。」
「どうして？もっと欲に素直になりなよ。」
「風磨がいて、俺がいて、俺は風磨のことを幼馴染っていうポジションで1番近くで見ることが出来る。それだけでいいんだ。」
何を返されるか分からなくて、俺はレイカと目を合わせることが出来なかった。
けれど、言ったことは本心だった。
男が好きだということを風磨に伝えて、気持ち悪いと思われたら、それはもう幼馴染以下、顔見知り以下になってしまうかもしれない。
そうなるならば、幼馴染という卑怯な手を使ってでも風磨の側に居たい。
「でも、なんかそれ分かる気がする。」
「え？」
「私もね〜。ちょっと年齢差が。」
「そうなの？」
「うん。もうすっごい優しくてカッコよくて可愛い人なんだけどさ〜。」
もうそれはデレッデレな顔でその人の事を惚気始めるレイカは、恋する乙女だった。
あぁ、いいなぁ。こんなにも好きな人のことを堂々と話せるのなんて。
そのレイカの想い人というのが、松島だと知った時の衝撃は、未だに忘れられないけど。
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作者名：はる | 作成日時：2018年3月3日 19時
