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Fuma
あー、連れてきてよかった。
なんて思わせてくれるのは、Aちゃんの反応が初だからだろうか。
窓から見える景色、届く料理、程よく回っているであろうアルコール。
全てが、彼女の魅力をより一層深めていた。
「風磨はさ、こういうところ慣れてるの？」
「え？」
「だって、緊張してなさそうだし。」
まぁ、慣れていない、と言えば嘘になるだろうか。
「そんなことないよ、割と足とか震えてる。」
「ほんとに？」
「ほんと。」
中島の友人だという店主が、こちらを見ているのは痛いほど刺さる視線で分かる。
でも、なんだか睨まれているような気が...
「どうかしたの？」
「ううん。なんでもない？」
「そう？嘘は無しだからね。」
付き合い始めた頃に作ったルールは、大概が改定されているけれど、嘘はつかない。というのは未だに変わっていない。
ていうか、そんなこと覚えてるAちゃんが可愛い。
「なに？なんか付いてる？」
「違うよ。美味しそうに食べるなぁって。」
俺がそう言うと、食べようとしていた手が止まり、俯いてしまった。
「ごめんね。色気の無い食べ方で。」
え、違う。
そういうつもりじゃない。
直ぐにそう言えばいいものの、動揺したのか口が動かなかった。
「ごめん、ちょっとお手洗い。」
そう言って、なにも言えないまま、Aちゃんは席を立ってしまった。
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作者名：はる | 作成日時：2018年3月3日 19時
